忍者修行 其の一 ~潜入! 忍者に会えるバスツアーの巻㊤~
前回、忍者修行をするぞ!と意気込んだ私。何事もカタチから、と、まずは忍者に変身です!
普段は着物を着ることが多いです
オイシイオサケガノミタイナ~(適当な呪文)
変身!くノ一朔庵、見参!
作務衣や祭り装束などを組み合わせ、ベーシックでありながら女性らしい赤を挿し色に。ポイントは柄入りの地下足袋とネット通販で買った手裏剣チョーカーです。新米なので刀はありません。イメージは20年くらい前に「アクワイア」というゲーム会社から発売された『立体忍者活劇 天誅』に出てくる女主人公、くノ一「彩女(あやめ)」です。
それまでエンターテインメントにおける「忍者像」は、派手な衣装に大げさな忍術というのが主流でした。が、このゲームは主人公(男女2人のどちらかを選択できる)が黒装束で、プレイ内容もほとんど隠れて移動、敵に見つかったり戦ったりするとステージクリアポイントが下がるという、まさに「忍者」を体感できるものだったのです。
当時、ゲームやアニメには肌を露出した衣装を着ている女性キャラが多いなか、地味な衣装にグッときたものです。「天誅」カッコ良かったな。キャラクターが文楽人形みたいな造形だったところも好きだった……。
衣装もバッチリ決まったところで、さっそく修行に出かけることにしましょう。
忍者の教えに「まずは敵(相手)をよく知ること」というのがありまして、忍者そのものを観察する必要があります。一見簡単そうですが、非常に難しい任務です。たぶん。
そこでやってきたのは浅草。実は「浅草で忍者を見かける」という情報を得たのです。
2020年に開催される東京オリンピックの影響なのか、境内は海外からのお客さんであふれています。まっすぐ歩くのも困難な状況ですが、はて、忍者に会えるかな…?
商店街をうろうろしていると、六区のあたりでそれらしき人物を発見!
「あ、あなたが忍者さんですか…?!」
思わず、生き別れの兄弟に会えたような気持ちになってしまいましたが、なぁんだ、よくよく見ると忍者の格好をしたマネキンでした。こちらは『サムライ&忍者 サファリ』というバスツアーの受付窓口なのです。
浅草の観光スポットをめぐるツアーなのですが、なんと、途中でサムライや忍者が現れるらしいのです。説明を聞いてもサッパリ意味がわかりません。が、今日の目的は忍者に会うこと。早速乗り込んでみましょう!
「忍び装束の人が来たのは初めて」と言われてしまいました。しまった、忍者ってバレてます。当たり前か。
ツアーの参加者はインドネシアから来た外国人観光客、日本人の家族連れなど、私を含めて12人。忍者は子供と外国人に人気と聞いていましたが、大人だけの日本人グループも結構いるんですね。
バスガイドは着物姿のナイスなお兄さん。英語と日本語で観光スポットの解説などをジョークを交えて楽しく紹介してくれます。しばし、浅草観光を堪能。ヘーイ、スカイツリー、オーイェー、カミナリモーン。
ザザッ、ザー。
「臨時ニュースです。なんと、忍者が現れました!」
ふいに、車内テレビに緊迫した表情のニュースキャスターが現れました。
テレビ? えっ、テレビ?
どうやら、忍者がこの近辺にいる……?バスの中に緊張が走ります。
忍者出たー!しかも観光客がごった返す町の中で!(つづく)
【朔庵亭 いずみ朔庵イラストレーションギャラリー】
http://www.sakuan.net/取材協力:浅草エンタメバス『サムライ&忍者 サファリ』
https://opt.jtb.co.jp/kokunai_opt/p/p1021040/