忍者修行 其の五 ~能ある忍者は爪を隠す、古文書に秘められた謎の巻㊤~
好きなのに、長い間私が“忍者”に足を踏み入れなかったのは「真実を知りたくなかったから」というのも理由のひとつ。超人的な身体能力、強靭な精神、できればイケメンであって欲しいという理想の忍者は存在せず、実際は地味な仕事をコツコツこなしていたんだろうな、と想像するからです。
歴史には「時代考証」がつきものですが、「忍者は手裏剣を投げなかった」「くノ一はいなかった」等々、そういうものに縛られると頭の中で自由に妄想が出来ないじゃん!私はとんだり跳ねたり分身したりする忍者が好きなの!と思ってしまうんですね。
江戸の風俗を調べたりするのは好きなのに、忍者に関しては架空のヒーローを好む。ずっと見て見ぬフリをしていました。
そんな時、三重大学で2018年度から「忍者・忍者学」を学べるというニュースが入ってきました。大学で忍者? まさか、卒業したら忍者になれるのでしょうか。現実がアニメや漫画に追いついたような話です。
高尾善希先生。今回はインタビューのみなので、忍び装束である必要はないのですが……
どんな事を教えてもらえるのか調べない手はありません。同大学で忍者学を教えている先生の1人、高尾善希(たかお・よしき)准教授(以後、先生と記載)が今回のターゲットです!
「忍者学の教員の1人として、私は主に古文書を教えています。最近“忍者部”も作りました」。三重大学で忍者学を教えている先生は3名。忍者を学問として考えること自体が新しいので、さまざまな分野の先生が集まって、学生と共に研究に取り組んでいます。驚いたのは、架空の忍者、つまり小説やゲームに出てくる忍者像も研究対象になっているということ。
私も忍び装束である必要はありませんけどね
歴史物の創作というのは「江戸時代なのに髷をしてないのはおかしい」「この時代にこんなに女性が自由に動けるはずがない」など、常に「時代考証」とのぶつかり合いがあります。私も史実を調べるのが好きな一方で、創作は創作として楽しんでもいいんじゃないかなぁ、と考えています。だからこそ、いかにもケンカしそうな分野を一緒に学べるというのは、他の歴史学にはない画期的な出来事ではないかと思うのです(つづく)。
画:いずみ朔庵
◆今日の忍者さん
名前:高尾善希
忍者歴:0年(ナシ)
忍者の好きなところ:能力を隠すところ
得意技:古文書読み
コスチュームのポイント:
三重大学に【経費で】購入してもらいました
【朔庵亭 いずみ朔庵イラストレーションギャラリー】
http://www.sakuan.net/