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駆け出し忍者のくノ一修行
イラストレーター
いずみ朔庵
第1回 将来の夢は「忍者」!? その②

画:いずみ朔庵



 なんと、甲賀流忍者検定で最高得点を取ってしまった私。どんだけ忍者好きなん。
 もしかしたら、今からでも忍者になれるかも……?

これが甲賀流忍者検定の合格証!

 ところで、この会場に来ている人たちってどんな人なんだろう。どうも私のような単なる忍者好きではない、なんというか、その……「玄人感」のある人がチラホラ。手裏剣の的にクナイ(手裏剣のような飛び道具)をすごい音を立てて投げている人や、大勢の人に挨拶されている業界では有名らしき人……。


 この時点での私の「忍者っぽい、もしくは忍者に近い人たち」の認識はこうです。
 ・忍者名を名乗り、コスプレをしている人
 ・ショップやアミューズメント施設で忍者役をやっている人
 ・忍者の情報サイトを運営したり、本を書いている人
 ・忍者の末裔
 ・忍術の継承者
 ・都内に忍者を名乗る集団がいる
 ・忍者の研究者がいる
 ・忍者に関する検定や大会が開催されている


 彼らは「忍者」なのでしょうか?
 世の中には忍者に関わる仕事をしている、もしくは忍者について発信している人たちがいるというのはうっすら知っていましたが、検定を受けるまでは「自分の周辺で少し楽しめればいいや」と思っていたので積極的に関わることもしなかったし、ましてや今から忍者を目指すって、ある日お父さんが「オレ、会社やめて漫画家になるわ」っていうヤツです。ダメなパターンです。
 でも、そうやって目をそらしているうちに世の中は少しずつ変わっていたんですね。そういえば去年あたりから、「忍者が不足している」とか「イランで忍者教室が大盛況」というニュースが流れていたし、一生は一度きり(ちなみに、これはとんでもないことをやろうとする人の常套句です)、今が忍者になるスーパーチャンスタイムなのではないでしょうか。

甲賀のゆるキャラ「にんじゃえもん」と記念撮影。写真右の赤い忍者装束が私です。ちなみに、検定に誘ってくれた友人は2位! まさかのワンツーフィニッシュでした

 忍者になるって、具体的にはどうしたらいいんでしょう。歴史的に言えば、忍者って、要するに「スパイ」みたいなものですよね。でも、私は別にスパイになりたいわけではありません(ハリウッド映画には出てきそうですけど)。
 イラストレーターをやめるわけにはいかないし、兼業って可能なんでしょうか?

 そういえば、忍者には「草」という、一般人として普通に生活をしながら情報収集したり、いざという時に戦に参加したりする役まわりがありました。なら兼業のほうが忍者っぽいかもしれません。
 忍者の修行は何も武芸や忍術だけではありません。心理学や呼吸法など実はバラエティーに富んでいて、さまざまな知識や最新の道具を駆使して任務を遂行するのです。今さら麻の木を毎日飛び越えたり、濡らした半紙の上を走らなくても、「現代の忍者」であれば、なれるのではないか?

 それにはまず、「忍者かもしれない人たち」にお会いしてみるのが一番いいのかもしれません。初級といえど忍者検定には受かっているので「駆け出し忍者」くらいは名乗れるでしょう。せっかくなので「くノ一」もつけていいですか?

 というわけで「駆け出し忍者のくノ一修行」、次回からさまざまな施設や場所を訪ねて、忍者さんにお会いしてきます。レジャーとして楽しめるものから本格修行まで、体験レポートをみなさまにお届けしたいと思います。
 それじゃ、ちょっと忍び装束を買ってきますね!(つづく)

 

◆「甲賀流忍者検定」とは?



忍者に変身して、いざ検定へ

 滋賀県甲賀市で2008年から始まった甲賀市観光協会主催の忍者検定のこと。2017年は記念すべき第10回という事で、初めて東京で開催されました。
 試験は初級・中級・上級の3つのランクがあります。今回は「初級」のみの開催で、甲賀忍者の歴史をはじめ、アニメ、映画などのメディアから忍術に関する問題まで幅広いジャンルが出題。筆記試験がメインですが、手裏剣実技、忍び装束のコスプレ加点などもあり、真面目なだけじゃないところがポイントです。試験のほかには、お昼ごはんに甲賀のお弁当を食べたり(事前申込が必要)、忍者ショーや忍者についての講義が行われるなど、イベントとしても楽しめる1日でした。ちなみに甲賀は「こうか」と読むのが正しいのだそうですよ!

【朔庵亭 いずみ朔庵イラストレーションギャラリー】
http://www.sakuan.net/
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【いずみ・さくあん】
歴史や時代物をはじめ、着物や和柄など日本文化に関するイラストを得意とし、時代小説の挿絵や装画などを中心に活動中。担当した装画には、『お文の影』(宮部みゆき)、『ぼんくら同心と徳川の姫』シリーズ(聖龍人)、『恋と歌舞伎と女の事情』(仲野マリ)などがある。和雑貨メーカーへのデザイン提供や江戸解説も行うなど、“江戸が好きすぎるイラストレーター”として活動中だが、実は幼いころから大の忍者好き。2017年には「甲賀流忍者検定」初級に首席で合格し、現在は一人前の忍者になるために修行中。著書に『財布でひも解く江戸あんない~マンガで辿る江戸時代に暮らしと遊び』(誠文堂新光社)がある。
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