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駆け出し忍者のくノ一修行
イラストレーター
いずみ朔庵
忍者修行 其の七 ~江戸に忍者が大集合!決戦は何曜日?の巻㊤~

忍者がパンダなのは近くに上野動物園があるから……?

 何事もない平穏な日々。ところが、ひとたび有事が起きたら町のあちこちから忍者が現れ、人々を救う……そんなことを、誰でも一度は妄想したことがありますよね。えっ、ありませんか、そうですか。
 平成最後の11月、江戸……ではなく東京で、妄想が現実になったような出来事がありました。
 twitterなどのSNSには「電車に乗ったら忍者に囲まれた」「上野に忍者がいっぱいいるけど何かあるの?」などの書き込みが。各国の大使館には緊張が走り、政府官邸にはひっきりなしに人の出入りが……あったかどうかは知りませんが、11月23〜25日の3日間、上野の恩賜公園で開かれた「伊賀上野忍者フェスタin上野恩賜公園」に、忍者修行中の私も行ってきました!

 三重県伊賀市では、毎年ゴールデンウィークに「伊賀上野忍者フェスタ」が行われているのですが、忍者を広く発信するべく、6年前から東京は上野でも開催されるようになりました。名前の通り、忍者を知り、忍者を楽しめるイベントなのです。今年からは滋賀県甲賀市も加わり、伊賀甲賀が揃いぶみ。

テントが瓦屋根の柄です。芸が細かいところはさすが忍者

 特設ステージでは忍者ショーや一般客も参加できる忍者合戦などが繰り広げられ、手裏剣打ちなどの修行ブース、忍者グッズや「かた焼きせんべい」「養肝漬(ようかんづけ)」など名産品の販売ブース、伊賀焼のろくろ回しなどの体験ブースなど、楽しみ方もさまざま。会場には衣装レンタルや更衣室もあるので、忍者になりきって楽しむこともできます。
 とはいえ、会場は忍者だけではなく、家族づれが多いのが特徴。小さな子供が手裏剣や吹き矢を楽しみながら、知らず知らず忍者洗脳を受けていいる……君たち、将来は立派な忍者になるんだよ。

 イベントでは学生とのコラボも積極的に行っているようです。私も、大妻女子大学と伊賀の日本酒がコラボした「忍者BAR」でお酒を飲んだり、日本デザイナー学院の学生が作った忍者雑貨などを見て回りながらしばし、イベントを楽しんでいると……一番奥のブースに大勢の人が集まっているのを発見! 彼らは受付を済ませると、吸い込まれるように脇のテントに入って行きます。そして、テントから出てきた姿は、全員! もれなく! 忍び装束! 
 その数ざっと100人あまり。全員で「えい、えい、おう!」の声をあげると、イベントブースを出て上野駅に向かって歩いて行くではありませんか。ちょ、ちょっとまって。私も慌てて後を追いかけます。

どこを見ても忍者

「忍者修行 其の五」でインタビューした高尾先生!お久しぶりです


 実はこれ、「忍者百人衆〜江戸で伊賀/甲賀の気配を探れ〜」という、もうひとつのイベント。応募で集まった100人の忍者たちが、都内にある伊賀甲賀ゆかりの史跡めぐりをするという史跡ウォーキングなのです。コースは毎年変わり、各ポイントでは三重大学で忍者学を教えている山田雄司教授がガイドをしてくれます。
 5年目の今年は、まず上野駅からJR山手線で原宿に移動し、そこから神社仏閣、公園など5箇所のポイントを経て新橋駅から再び上野のイベント会場に戻ってくるコースで、その距離およそ10km。運動は苦手な私ですが、歩くのは大好き!それに、普段は電車での移動ばかりですが、実際に歩いてみることで町と町の位置関係がわかるので、それこそ有事の時には役に立つかもしれません。

 さて、無事に上野駅に到着した忍者が100人、ゾロゾロと電車に乗り込みます。
ぎょっとする乗車客。都会のいいところは、こういう不思議な光景を見ても激しく動揺せず、静かに見守ってくれるところです。忍者最高。(つづく)

画:いずみ朔庵



◆伊賀上野NINJAフェスタ in上野恩賜公園
http://iga-e.com/
※2018年12月現在は2018年度版の情報になっています
◆伊賀上野NINJAフェスタ
http://www.iga.ne.jp/~ninjafesta/
※三重県伊賀市で行われる「伊賀上野NINJAフェスタ」の公式サイト
◆伊賀上野観光協会
https://www.igaueno.net/
※「忍者百人衆〜江戸で伊賀/甲賀の気配を探れ〜」のお問い合わせはこちら
◆甲賀市観光協会
http://www.koka-kanko.org/

【朔庵亭 いずみ朔庵イラストレーションギャラリー】
http://www.sakuan.net/
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【いずみ・さくあん】
歴史や時代物をはじめ、着物や和柄など日本文化に関するイラストを得意とし、時代小説の挿絵や装画などを中心に活動中。担当した装画には、『お文の影』(宮部みゆき)、『ぼんくら同心と徳川の姫』シリーズ(聖龍人)、『恋と歌舞伎と女の事情』(仲野マリ)などがある。和雑貨メーカーへのデザイン提供や江戸解説も行うなど、“江戸が好きすぎるイラストレーター”として活動中だが、実は幼いころから大の忍者好き。2017年には「甲賀流忍者検定」初級に首席で合格し、現在は一人前の忍者になるために修行中。著書に『財布でひも解く江戸あんない~マンガで辿る江戸時代に暮らしと遊び』(誠文堂新光社)がある。
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