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はっぴーあにまる
東海大学農学部准教授
伊藤秀一
第14回 ヒツジ

同じ顔に見えますか?



 前回は、仲間と認識している同士のヒツジでも、外見が大きく変わってしまう毛刈り直後には“知らないヒツジに対する行動と同じ行動”を示すことから、ヒツジは仲間の姿をちゃんと覚えていることがわかる、という話をしました。

 実は、ヒツジの記憶力はもう少し詳しく調べられていています。イギリス・ケンブリッジ大学のKendrick博士の研究では、ヒツジは他個体の顔を数年間覚えていることが明らかとなっています。



 Kendrick博士は、ヒツジの顔写真をたくさん用意して、特定のヒツジの顔の写真を選択するとエサが食べられるという訓練をしました。たくさんのヒツジの顔写真のから「この顔を選んだらエサをもらえる」を覚えさせるのです。ヒツジはそれを見事に学習します。

 さらに、その学習が成立した後、全く実験をしない期間を1カ月、半年、1年、2年と延ばしていきます。そして、再びヒツジに顔写真を提示すると、見事に覚えていた、という研究でした。

 つまり、牧場でヒツジにいたずらをしたら……顔を覚えられてしまうかもしれませんヨ(覚えられなくても悪いことはやめましょう)。




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【いとう・しゅういち】
1972年千葉県生まれ。麻布大学獣医学部環境畜産学科卒業、同大学院獣医学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は応用動物行動学。中学生のころより写真撮影を始める。家畜たちの日常の素顔を集めた写真集『まきばなかま』を出版。
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