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はっぴーあにまる
東海大学農学部准教授
伊藤秀一
第10回 ヤギ

来年の主役は俺たち!!・・・ではないらしいぞ?



 来年の干支はヒツジですが、よく似た動物にヤギがいます。漢字で書くとヒツジは「羊」、ヤギは「山羊」となり、どちらにも「羊」の文字が入りますが、ヤギとヒツジは、動物分類学上では別の種に属し、さまざまな特徴も異なります。

 ヤギとヒツジは、身体的な特徴も違うのですが(とはいえ、わかりにくいことも多いです)、行動学的にも異なる特徴を持っています。ヤギはヒツジと異なり、草だけでなく樹木の新芽等なども好んで食べますし、ヒツジよりも明確な社会順位を持ち、人に懐き、好奇心が強い動物ともいわれています。



 このようなヤギの社会性を利用して、モンゴルの遊牧民は、ヤギを使ってヒツジの群れをコントロールする飼育法を行っています。ヒツジは群れで暮らす動物ですが、明確なリーダーがいないといわれ、ヒツジだけでは群れをうまく動かすことができません(だから地域によっては、牧羊犬を利用しているんですね)。
 彼らはヒツジの群れにヤギを混ぜて飼育し、そのヤギを誘導することでヒツジ全体の群れを制御しているのです。干支にヤギはいませんが、ヒトにとって重要な家畜であることは間違いありません。



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【いとう・しゅういち】
1972年千葉県生まれ。麻布大学獣医学部環境畜産学科卒業、同大学院獣医学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は応用動物行動学。中学生のころより写真撮影を始める。家畜たちの日常の素顔を集めた写真集『まきばなかま』を出版。
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