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はっぴーあにまる
東海大学農学部准教授
伊藤秀一
第13回 ヒツジ

私だって脱いだらスリムに……



 今年の干支であるヒツジは、昨年末から新年にかけて、いろいろな姿で私たちを楽しませてくれましたね。動物園や観光牧場でも「ヒツジと撮影会」などのイベントが数多くあったようです。私も年末に「~来年の干支『羊』の画像を無料でダウンロード~」という企画をしたところ、多くの方に利用していただきました。もちろん年賀状にも、写真やイラストのヒツジがたくさん登場してくれました。ヒツジは羊毛に覆われてモコモコな姿をしているので、写真に撮ってもすてきですし、キャラクターとしてもかわいいものが多い気がします。



 羊毛はセーターになるぐらいですから、非常に保温性が高い素材です。そのため、ヒツジはその姿のままでは夏を乗り切ることができず、たとえ羊毛を利用しなくても、春先には必ず毛刈りを行います(日本で多く飼育されているサフォーク種は、肉用種なので良質な羊毛を得ることはできませんが、毛刈りは重要な管理作業です)。



 毛刈りが終わったヒツジは「別の動物?」と思うぐらいその姿が変わります。この見た目の変化は、ヒツジにとっても混乱の原因となるようです。信州大学の竹田謙一准教授の研究によると、仲間と認識している同士のヒツジでも、毛刈り直後には、初めて会った個体と会ったときのような闘争行動を発現します。この混乱は短期的なもので、すぐにまた「知り合い同士」に戻るようです。この研究からも、ヒツジは仲間の姿をちゃんと覚えて「知っている個体」か「初めて会った個体」かを認識していることがわかります。
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【いとう・しゅういち】
1972年千葉県生まれ。麻布大学獣医学部環境畜産学科卒業、同大学院獣医学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は応用動物行動学。中学生のころより写真撮影を始める。家畜たちの日常の素顔を集めた写真集『まきばなかま』を出版。
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