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はっぴーあにまる
東海大学農学部准教授
伊藤秀一
第8回 ブタ

カップル成立


 今回は、第7回(http://www.tokaiedu.co.jp/kamome/contents.php?i=86)で登場したブタが、産まれてから約1カ月のころ、つまりまだまだ子ブタだったころの姿を紹介します。

 産業動物(畜産業にかかわる動物)としてのブタも、祖先種であるイノシシと同様に、母ブタから乳を与えられて育ちます。しかし、野生のイノシシとは異なり、産まれてから数週間後には、子ブタにとってはちょっと厳しい「離乳」が待っています。離乳により、母ブタから離され、子ブタだけの生活が始まるのです。



最近の研究では、早期に離乳したブタは、ある程度の期間にわたって母ブタによって育てられた個体に比べて、少しの刺激に過敏に反応したり、ストレスに対する耐性が低いなど、動物が本来持っている環境に対する適応が失われていることが明らかになっています。動物の管理技術を少し考えるだけで、動物の幸せレベルが少し上がっていく科学的根拠です。

 とはいえ、長期間にわたって子ブタを母ブタと一緒に育てると、その分コストがかかります。また、今回の写真の子ブタのように、掘って遊ぶことができる地面での飼育も、同様にコスト増につながります。つまり、動物の幸せレベルを上げるには、私たち消費者が少し負担をする必要が出てくるのです。

 たとえ最終的に食べてしまう産業動物に対しても「生きている間の幸せを考えよう」というのが、アニマルウェルフェアという考え方です。
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【いとう・しゅういち】
1972年千葉県生まれ。麻布大学獣医学部環境畜産学科卒業、同大学院獣医学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は応用動物行動学。中学生のころより写真撮影を始める。家畜たちの日常の素顔を集めた写真集『まきばなかま』を出版。
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