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はっぴーあにまる
東海大学農学部准教授
伊藤秀一
第12回 ヒツジ

来年の主役です



 今回も来年の干支であるヒツジのお話です。

 ヒツジはウシなどと同じ“反芻動物”というカテゴリーに分類されます。私たち人間は、胃と呼ばれる器官を一つしか持っていませんが、反芻動物は第一胃から第四胃まで、4つの胃をもっています。ウマの回でも紹介しましたが、反芻動物は第一胃と呼ばれる一番大きな胃の中で微生物を飼育しています。食べた草をその微生物に分解してもらうことでエネルギーを得ているのです。反芻動物にとっての植物摂取は、私たちが野菜を食べるのとは全く意味が違うんですね。地球上に沢山ある植物を、エネルギーに変換して、あんなに大きな体を維持する反芻動物は、非常に偉大なシステムを持っているといえるでしょう。











 さて、同じ反芻動物であるヒツジとウシですが、草を食べる行動をよく見ると、その特徴が違うことに気がつきます。ウシは、舌で草を巻き取って引きちぎり、飲み込みますが、ヒツジは舌を使わずに、歯で直接草をちぎって食べていきます。ちょっとした行動の違いですが、実は大きな違いになります。ウシは短い草丈の草を食べることはできませんが、ヒツジは短い草を食料とすることができるのです。ヒツジが世界中で飼育されているのも、こんな行動特性があるのかもしれません。


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【いとう・しゅういち】
1972年千葉県生まれ。麻布大学獣医学部環境畜産学科卒業、同大学院獣医学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は応用動物行動学。中学生のころより写真撮影を始める。家畜たちの日常の素顔を集めた写真集『まきばなかま』を出版。
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