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はっぴーあにまる
東海大学農学部准教授
伊藤秀一
第1回 ブタ

寝る子は育つ(邪魔するなぁ??)



 はじめまして。
 私は現在、熊本・阿蘇にある農学部で「応用動物行動学」を専門として研究・教育に取り組んでいます。応用動物行動学とは、ヒトとは言葉でのコミュニケーションがとれない動物の行動を調べることで、彼らの環境をより良いものにすることを目標のひとつとしている分野です。動物の飼育環境を考えるときに「私だったらこれは嫌だな」「私ならこうしてほしいな」を考えがちですが、それが時として動物自身にとっては良くないものになってしまうことがあります。なぜなら、動物の感覚はヒトと同じとは限らない――むしろ違うことが多いからです。そこで、飼育している動物からの苦情(?)を“言葉”ではなく、彼らの“行動”によって知るというのが応用動物行動学の手法です。このフォトエッセイでは日々の研究生活で撮影した写真を紹介しながら、「動物の幸せ」について考えていけたらと思っています。

 さて、第1回目はブタです。かわいい、ブサイク、クサイ、実はキレイ好き、大きい、白い、黒い、おいしい……。この動物はいろいろな言葉で表されます。こんなにイメージが多様な動物はほかに思い浮かびません。その中でも最も特徴的なのは“鼻”ではないでしょうか。ブタは鼻を器用に使って地面を掘ったり、巣を作ったりします。そのため、ブタの幸せな環境を考える場合に「鼻が使える」ことは非常に重要です。地面にオガ屑や土を敷き詰めたり、穴が掘れるような環境で飼育すると、ストレスレベルが下がるという研究報告が数多くあります。ヒトにとって幸せな環境が、動物にとっての幸せだとは限らないという例になるのかもしれませんね。

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【いとう・しゅういち】
1972年千葉県生まれ。麻布大学獣医学部環境畜産学科卒業、同大学院獣医学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は応用動物行動学。中学生のころより写真撮影を始める。家畜たちの日常の素顔を集めた写真集『まきばなかま』を出版。
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