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はっぴーあにまる
東海大学農学部准教授
伊藤秀一
第2回 ウシ

ポマードべったりじゃないヨ(雨上がりなのです)



 「500kgをこえる巨大動物が数100頭放し飼いに!!」と聞いてビックリしませんか? 日本にそんな場所があるとは思えませんよね。でも、そこは身近な環境です。牧場や草原でたくさん放牧されているウシ。実はウシってかなり巨大な動物なんです。たとえば(飼育されている地域にもよりますが)、乳牛として有名なホルスタインの雌は700kg以上もあります。私たち日本人の平均体重は70kg程度、それに比べると約10倍以上なのです。

 さらに、一般の方はほとんど目にすることはありませんが、ホルスタインの雄は1tをこえる超巨体動物です。日本に生息する最大の陸上野生動物であるエゾヒグマでも、体重は最大で500kg程度にしかなりません。先日、アラスカのヒグマを紹介する番組で「なんと体重は800kg以上です!!」と解説していましたが、ウシの雄はそれ以上なのです。そんな巨大な動物であるウシが、身近な環境で何10頭、何100頭と放牧されているのは、よくよく考えるとすごいことです。放牧地のウシを見かけたら「ウシかぁ……」ではなく、「巨大動物がたくさんいる!」って目で見ると、ちょっと楽しくなります。

 私の職場がある阿蘇地方では、あか牛と呼ばれる褐毛和牛の放牧が盛んに行われています。あか牛の茶色は、放牧地の緑をバックにするとものすごく美しい動物に見えます。もちろん、黒いウシ(黒毛和牛)も美しい動物なのですが、草原とのマッチングという意味では、あか牛のほうが圧倒的に上だと思います。

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【いとう・しゅういち】
1972年千葉県生まれ。麻布大学獣医学部環境畜産学科卒業、同大学院獣医学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は応用動物行動学。中学生のころより写真撮影を始める。家畜たちの日常の素顔を集めた写真集『まきばなかま』を出版。
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