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美しいくらし
昭和モダンの家を建てる 日本モダンガール協會 × 音楽史研究家
淺井カヨ × 郡 修彦
第6回 工務店選択の記⑥ 郡 修彦
 丙の工務店紹介サイトによる紹介が最終的に理想の工務店に逢着する結果となったが、これは前回までの甲と乙の2方式が万策尽きかけた時に出現した正しく救いの神であった。五里霧中にて新たなる可能性を双方が模索し始めた段階で、婚約者がネットにて発見したのが工務店紹介サイトの「ザ・ハウス」である。これは仲介会社が申し込み者の希望を子細に検討して最適の工務店を紹介し、契約締結の暁には工務店が仲介会社に成立料を支払う方式であり、申し込み者の負担が皆無である点が良心的な経営形態である。

 先ずは当方の希望の詳細を伝えるに、該当すると思われる9工務店の情報がもたらされ婚約者と2人で検討した結果、最適と判断したのが実は最終的には今回の新築工事を依頼した、あきるの市の「来住野(きしの)工務店」であった。一世紀以上の歴史を有する事、昭和初期の商店建築の復元を完全に為し得る技術を有している事、神社仏閣の宮大工水準の建築の施工実績がある事、等であり、我々が希望する和洋折衷の「文化住宅」は可能な筈との期待を抱いた。
 「ザ・ハウス」との交渉は婚約者が当たり、初めは9店の工務店が3店に減り、遂には上記の「来住野工務店」のみとなり、希望を検討の上での紹介故に今までの様な事は無いと信じつつも、一抹の不安を抱えて打ち合わせに赴いたのは10月16日であった。婚約者は出版の原稿に傾注しており、私が一人にて赴く事にした。

 例の40分の1の模型を持参しての毎度御馴染みの打ち合わせを始めたが、予め「ザ・ハウス」からの連絡済故に極めて円滑に進行した。工務店はJR五日市線の武蔵五日市駅から10分程の所にあり、小平市とは距離がある故に果たして物理的に可能であるかが先ずは問題であったが、担当の大工が青梅在住にて小平が限界地域である事は実に幸いであった。
 当日の打ち合わせにて新居の規模・間取り・仕様の概要を説明し、特に我々が希望する点を検討した結果が以下の通りである。

集成材は一切使用せず
壁は塗りか貼りの双方可能で予算次第
竿縁天井は可能
部屋の真壁仕様は筋交いの都合上、全部は不可能なるも大部分は可能
外壁の下見板張りは少々高額なるも可能にて、サイディング板は使用せず
玄関叩きの豆砂利洗い出しは可能
下駄箱は木工部門により可能
漆喰壁は竹を編む土壁も可能(壁紙もあり)
風呂場のタイル浴槽は可能
台所のタイル貼り流しは可能
応接室と夫人室の木部分(天井・腰板・床)の塗装は可能
応接室屋根のS字瓦は可能
ピアノ・本棚の重量物対策は可能

 そして、一般の工務店は材料を購入しているが、来住野工務店は加工部門を有しており幅広い対応が可能と説明され安心する。それまでの工務店は加工済の材料を調達するか、縦し(よし)加工部門を有していても標準規格品のみが通常価格にて、特殊規格品は不可能か割高な特別料金の何れかであった事を思うと、何とも有難い限りであった。

 打ち合わせの後に工務店側での設計が始まり、11月6日に概要と概算が伝えられ、概要は当方の希望通りの住宅であり、概算も予算の範囲内と、いよいよ新居への具体的な前進が始まった。
 次いで11月18日の2度目の打ち合わせには婚約者と2人にて赴き、矢張り土地と建蔽率の関係から、22坪の平家は不可能であり2階建て24坪弱と決定した。そして当世では柱と床の全てが合板、壁紙と天井紙の家なら坪30~50万円にて可能ではあるが、我々が希望する家は是非とも本式の建築でと後押しをされ、当初の計画通りの仕様とする。

 先ずは正確な土地の数字を出すべく測量を行い工務店に伝える事から始まり、初めは折原女史の不動産店が収集した登記書類と、当方で役所から入手した書類を提出したが、最新の正確な測量図が必要との事で、ネットにて地元の測量業者を調べて依頼した。この時も数社を候補に挙げたが、応対が丁寧で素早い業者を選択したところ満足すべき結果となり、丁寧・迅速・誠実こそ商売では最も基本的な姿勢と婚約者と2人痛く納得した次第である。(つづく)

【郡修彦東奔西走記】
http://blog.livedoor.jp/kohri0705/
【日本モダンガール協會の「週刊モガ」】
http://moderngirlkayo.blog.shinobi.jp

 結婚を機に、大正から昭和にかけて建てられた和洋折衷住宅の新築を計画した淺井カヨさんと郡修彦さんご夫婦。新居となる「小平新文化住宅」を昨秋完成させました。古きよき時代の家を現代によみがえらせた家づくり秘話を語る、日本モダンガール協會・淺井カヨさんのインタビュー「ようこそ、小平新文化住宅へ」はコチラをご覧ください。

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【あさい・かよ × こおり・はるひこ】
◆淺井カヨ◆大正65年(昭和51年)名古屋市生まれ。平成19年に日本モダンガール協會を設立。大正末期から昭和初期を生きた日本のモダンガールと、その時代の調査や研究、講演を行うだけでなく、ファッションから生活様式まで当時のスタイルを追求し実践する。著書に『モダンガールのスヽメ』(原書房)がある。
◆郡 修彦◆昭和37年東京都生まれ。音楽史研究家。拓殖大学大学院修了(修士)。作曲家・音楽評論家の故・森一也氏に師事。SPレコード時代の音楽史を一次資料の徹底した調査により解明し、CD解説書・新聞・雑誌・同人誌に発表。SPレコードの再生・復刻で世界最高水準の技量を有し、200枚以上を世に送り出した。企画・構成・復刻を手がけた『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』で文化庁芸術祭大賞を受賞。
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