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美しいくらし
昭和モダンの家を建てる 日本モダンガール協會 × 音楽史研究家
淺井カヨ × 郡 修彦
第4回 小平新文化住宅の全容紹介㊥ 郡 修彦
◆居間兼寝室

 便所・玄関・階段の北には西側に居間兼寝室と東側に書庫があり、玄関廊下から居間兼寝室への出入口は工務店の好意にて入手した旧家の木製引戸を灰汁洗いにて新品同様に再生して設置し、半畳の板畳を経て黄聚楽の真壁に竿縁天井の4畳半和室に到り、1畳分の押入は主部と天袋部分がある。台所と書庫への引き違い襖は夫々前述の旧家の付書院障子を組込み硝子を嵌めた仕様であり、西側には濡れ縁があり木製の硝子引き違い戸・木製網戸・木製雨戸を設置した。

◆書庫
 書庫は板張の6畳間で白漆喰の真壁に白漆喰風壁紙天井の折衷仕様に、幅3尺高8尺(約0.9メートル×約2.4メートル)の書架15本が設置されている空間で、私が収集した資料が分野別に整然と配架されており、東側には通風と採光を兼ねて書斎・居間兼寝室と同様の木製の硝子引き違い戸・木製網戸・木製雨戸を設置(濡れ縁無し)した。

◆台所

 居間兼寝室と書庫の北には西から台所と脱衣所と湯殿があり、台所は板張の3畳である。壁は3尺(約0.9メートル)までが中タイル貼りで上部は白漆喰塗の真壁、天井は竿縁を希望するも防火基準から白漆喰風壁紙にて妥協。昨今流行のシステムキッチンやアイランド・カウンターキッチンは計画当初から全く眼中に無く、如何に「文化住宅」の台所を作るかに腐心して当時の資料や現存家屋の調査を参考に考案したのが現状である。即ち小タイル貼りの流し台に人造石の研出し流し(人研ぎ)、鋳物コンロを設置し、流し台下部は木製引き違い戸2組の戸棚とした。
 台所の北東部には幅2尺(約0.6メートル)の勝手口を設け、玄関の木製引き違い戸は内側からのみ施錠可能の構造故に最終外出者の出入口とし、昔日の如く玄関は客人と主人、勝手口は家人との区分を再現した。床の一部には揚板を設けて床下貯蔵庫を設置、現代の建築はベタ基礎構造故に床下は全面コンクリートであり、特に囲いを設けず手の届く範囲に物を置ける点は実に便利にて、秋・冬・春は良く冷え大いに活用している。

◆脱衣所と湯殿

 脱衣場と湯殿は3畳を等分しており、脱衣場は台所と同一の内装である。洗面台は最新の専用品中には我々の方向に合致した物が無く、医療用の台を設置して洗濯等には実に使い勝手が宜しい。「文化住宅」の脱衣場は衛生的観点から白色が多く、木部分は台所・湯殿への出入口の木製の硝子引戸を含め全て白色塗装としている。
 湯殿は昨今流行のユニットでは無く、タイルを基本とした構成である。即ち床と浴槽は全て小タイル貼り、壁面は3尺(約0.9メートル)まで中タイル貼りの上部は白漆喰塗で柱を出さぬ大壁とし、天井は白漆喰風壁紙である。給湯方式は環境面と供給面から石炭・木材焚を断念して最新の瓦斯釜を設置しており、住宅街故の選択である。

◆夫人室(2階、10畳洋室)

撮影:永田まさお
 2階は耐震面を考慮し最小限として10畳洋室の夫人室のみである。床は褐色塗装の板張、壁は3尺(約0.9メートル)までが褐色塗装の板張で、天井までは白漆喰の真壁、天井は褐色塗装の板張である。天井中央部には応接室と同様の「メダリオン」を配し、矢張り中央部にフランス製のアールデコ照明具(再生品)を取り付けてある。洋間故に建築基準の可能な範囲で広く取り、天井は9尺(約2.7メートル)とし幅3尺高9尺の書架4本を西側壁面に配して蔵書の収納に供している。押入は階段天井部分を床部とする都合から3尺より天井までの空間として洋服箪笥を兼ね、北西の出窓は昭和4年に竣工した国立の高田義一郎(作家)邸の窓枠を解体時に入手し、入念な再生工程を経て使用している。(つづく)

(寫眞提供:淺井カヨ)

【郡修彦東奔西走記】
http://blog.livedoor.jp/kohri0705/
【日本モダンガール協會の「週刊モガ」】
http://moderngirlkayo.blog.shinobi.jp


 結婚を機に、大正から昭和にかけて建てられた和洋折衷住宅の新築を計画した淺井カヨさんと郡修彦さんご夫婦。新居となる「小平新文化住宅」を昨秋完成させました。古きよき時代の家を現代によみがえらせた家づくり秘話を語る、日本モダンガール協會・淺井カヨさんのインタビュー「ようこそ、小平新文化住宅へ」はコチラをご覧ください。
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【あさい・かよ × こおり・はるひこ】
◆淺井カヨ◆大正65年(昭和51年)名古屋市生まれ。平成19年に日本モダンガール協會を設立。大正末期から昭和初期を生きた日本のモダンガールと、その時代の調査や研究、講演を行うだけでなく、ファッションから生活様式まで当時のスタイルを追求し実践する。著書に『モダンガールのスヽメ』(原書房)がある。
◆郡 修彦◆昭和37年東京都生まれ。音楽史研究家。拓殖大学大学院修了(修士)。作曲家・音楽評論家の故・森一也氏に師事。SPレコード時代の音楽史を一次資料の徹底した調査により解明し、CD解説書・新聞・雑誌・同人誌に発表。SPレコードの再生・復刻で世界最高水準の技量を有し、200枚以上を世に送り出した。企画・構成・復刻を手がけた『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』で文化庁芸術祭大賞を受賞。
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