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美しいくらし
落語でボン・ヴォヤージュ! フランス人落語パフォーマー
シリル・コピーニ(尻流複写二)
第2回 オクシタニー地方で開催されるジャパン・ウィーク
前回(本連載第1回)はマルセイユで開催される日本領事館主催の「秋祭り」を紹介しましたが、今回も日本領事館がかかわるイベントのお話です。舞台はフランス南西部にある温泉町、Lamalou-les-bains(ラマルー・レ・バン)へ、ボン・ヴォヤージュしましょう。

ラマルー・レ・バンの町並み

フランスには「何とかレ・バン」といった地名が多くあります。この「レ・バン」はフランス語で日本語の「お風呂」の複数形。つまり「温泉地」「温泉リゾート地」を意味します。
例えばミネラルウオーターで有名なÉvian-les-bains(エビアン・レ・バン)はスイスに隣接するオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏にある町。近くにミネラルウオーターの産地や温泉地で知られるThonon-les-bains(トノン・レ・バン)やAix-les-bains(エクス・レ・バン)など、「レ・バン」の付く町があります。フランス北東部には2017年1月に「コミューン」(地方自治体の最小単位)の合併によって誕生したBains-les-bains(バン・レ・バン)もあり、こちらも温泉地です。それにしても「バン・レ・バン」って響きが可愛くないですか?

さて話を南仏に戻しましょう。2022年11月から毎年、「オクシタニー地方におけるジャパン・ウイーク」というイベントが南仏各地で開催されています。これは日本領事館の協力のもと、日本文化を紹介する催しです。当初は会期1週間の予定だったのですが、スポーツ、料理、映画、音楽、そして和菓子や水引を作るワークショップまで、あまりにもコンテンツが多くて「ウイーク」では足らなくなり、2025年から2週間の「Quinzaine du Japon ( ジャパン・2ウイーク)」に拡大されることになりました。このままだといずれ「月間」になりそうな勢いです(笑)。

私は日本領事館から声をかけていただき、2022年に出演しました。落語の会場はフランス南部に位置する都市モンペリエの近くにあるLamalou-les-bains(ラマルー・レ・バン)という町。ニースから電車でマルセイユまで約2時半、マルセイユから車でさらに約3時間の田舎町です。正直に言えば、こうした辺鄙なところで落語をするのはいつも不安です。日本とは縁が薄そうな場所で落語をしても、はたしてウケるのだろうか……。舞台裏にいた主催者スタッフのつぶやきも私の不安をあおります。
「いくら日本領事館が協力してくれているとはいえ、RAKUGOって何? そもそもこのイベントを開催することは正解だったのかな?」
そして開会式。市長の挨拶が始まりました。そのスピーチを私は今もしっかりと覚えています。

「今日は皆さまにRAKUGOをご紹介しますが、それがどんなものか私には全然わかりません。不安です!」

案の定です。半信半疑どころか「落語を知らない」とそのまま口にしてしまうなんて!?

ところが、そんな心配をよそにラマルージアン(ラマルー・レ・バンに住む人のこと)に落語は大ウケ! 落語の面白さが現地の人に通じたのです。そのとき、笑いを肌で感じるライブの魅力と日本文化のソフトパワーの強さを改めて実感しました。


実は後で知ることになったのですが、ラマルー・レ・バンは鳥取県三朝町の姉妹都市。昔から同じ温泉地としてのつながりがあったのです。さらに鳥取県といえば『名探偵コナン』の作者・青山剛昌先生の出身地。フランスでも『コナン』は大人気の漫画です。私はこの作品のフランス語翻訳を担当しているので不思議な縁を感じました。……が、このイベントとは一切関係ありません(笑)。(つづく)

【シリルのフランス豆知識 ●ラマルー・レ・バン編】



ラマルー・レ・バンと鳥取県・三朝町は、お互いに小さな温泉町であることがきっかけで1990年に友好姉妹都市提携を結びました。以降、三朝町の中学生がラマルー・レ・バンを訪れたり、三朝町に若手のフランス人が国際交流員として派遣されたりと交流を深め、両町の友好関係は30年以上も続いています。

(写真提供:Cyril Coppini)

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【シリル・コピーニ】
1973年フランス・ニース生まれ。落語パフォーマー、翻訳家。フランス国立東洋言語文化研究所(INALCO)で言語学・日本近代文学の修士号を取得。1995 年から1996 年まで長野県松本市信州大学人文学部へ留学。1997年から2021年まで在日フランス大使館付属文化センター「アンスティチュ・フランセ」に勤務。2011 年から「フランス人落語パフォーマー」としての活動を開始、国内外問わず落語の実演、講演会、ワークショップを積極的に行う。テレビやラジオにも数多く出演。2013年からは漫画やビデオゲームなどの日本のサブカルチャーコンテンツの翻訳と海外への紹介にも取り組んでいる(『名探偵コナン 』『どうらく息子』など)。
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