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美しいくらし
伊豆大島ぐらし トラベル・ジャーナリスト
寺田直子
第10回 1年目のHav Cafeを振り返る
 2022年2月13日、Hav Cafeは開業から1年を迎えました。あっという間のようでもあり、いろいろあったなぁという気もします。いずれにしても、おこしいただいた一人ひとりのお客さま、友人たちに感謝するばかりです。

地元産のお寿司で乾杯

 1年といっても昨年の8月と9月は東京都による新型コロナの緊急事態宣言中であり、またカフェをテレビドラマ『東京放置食堂』(テレビ東京)の撮影にお貸ししたりと(連載第6回参照)臨時休業したので、実質は10カ月弱。それでも、まだまだスキルは未熟ながらHav Cafeらしさが少しずつ形になってきていると実感しています。

 古民家カフェをワンオペレーションでやると決めた際に、心がけたことがいくつかあります。
 まず、伊豆大島産の食材を可能な限り使用すること。現在、パンやバター、牛乳、青唐辛子、塩などはいずれも伊豆大島生まれ。地産地消に加え、少しでも島の経済が回っていくことが重要だと思ったからです。島でしか味わえない体験は観光客の方に「ささる」キラーコンテンツにもなり、実際に多くの人たちに喜んでいただいています。
 もうひとつはムダにしないこと。使いきる。食べきる。そのために仕入れの際には毎回、連休や季節、天候など営業中の環境を先取りで考えて注文する数を決定していきます。パンなどは鮮度のよい状態で冷凍し、捨てることなく使いきる工夫をしています。とはいえ、メニューが品切れにならないよう多少は多めに仕入れる一方、悪天候で多くの観光客を乗せた週末の船が欠航すれば、算段が狂うことも。
 買い出しは週に1度、車で片道約30分の島の中心である元町まで行きますが、今後はなるべく遠出をせずカフェ周辺で食材を入手したいところでもあります。島ぐらしでは車が不可欠なのはわかっているのですが、なるべくエネルギーを使わず、カフェの営業を回したい。コーヒーかす(出がらし)の処理も気になるところで、堆肥にするコンポスト容器の導入も考えているところです。

カウンターはテレビドラマの舞台に


 さらに伊豆大島に移住してからの大きな気づきは、自分を取り巻く行政の仕組みや取り組みに対する関心がより深まったことでした。なぜココの道路工事が必要なのか、どうしてアレが改善されないのか。福祉や介護、教育、経済促進などに税金がどう使われているのか。都心で暮らしているとなかなか実感できない行政のおこないが、都民ではなく町民というミクロの視点になったことで「自分ごと」としてリアルに浮かび上がってきたのでした。これは大きな変化でした。

 そして最後に最も重要なのが、1年の売り上げです。目標は、1日換算で最低いくら稼げれば自分ひとり養っていけるのかをクリアすること。週末と平日、天候などさまざまな要因でご来店客の人数はバラバラです。また、緊急事態宣言の影響も大きかったりと厳しい状況でした。でも、それはどこも同じこと。その中でどのようにアプローチすればいいのか。そのヒントが、冒頭でふれた「Hav Cafeらしさ」でした。

 具体的にいうと、店主である私のスタイルであること。その軸となる根幹は、ゆらがない、ゆるがせない。自分が好ましいと思う空間と味、サービスであれば自信をもって提供できるし、より精度をあげていくのも苦ではありません。そこからより売り上げにつながること、お客さまに喜んでいただけるものを提供していくことに注視しました。結果は、まだ初の確定申告を済ませていないので未確定ではありますが(汗!)、どうにか目標はクリアできたのでは、と手ごたえは感じています。
 初めての島ぐらし、初めての古民家カフェ営業と「Hav Cafeらしさ」を追求したこの1年。得るものは多く、いくつになっても学ぶことや気づきはあるのだと、あらためて思っているところです。(つづく)

定価2,200円(税込)

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【てらだ・なおこ】
東京都生まれ。日本とオーストラリア・シドニーの旅行会社勤務後、編集プロダクションを経てフリーランスとして独立。これまでに90カ国以上を訪れ、年間150日は国内外のホテルに宿泊している。第13回フランス・ルポルタージュ大賞受賞。著書に『ホテルブランド物語』(角川oneテーマ21)、『泣くために旅に出よう』(実業之日本社)、共著に『ロンドン美食ガイド』(日経BP社)などがある。2021年より伊豆大島に移住し、Hav Cafeを営みつつ執筆活動を続けている。(撮影:峯 竜也)
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