× close

お問い合せ

かもめの本棚に関するお問い合せは、下記メールアドレスで受けつけております。
kamome@tokaiedu.co.jp

かもめの本棚 online
トップページ かもめの本棚とは コンテンツ一覧 イベント・キャンペーン 新刊・既刊案内 お問い合せ
にっぽん味噌蔵めぐり
実践料理研究家・みそ探訪家
岩木みさき
第5回 夫婦2人で歩む味噌の道㊦(加藤味噌醤油醸造元・青森県)

使い込まれた木桶などにすむ菌が味噌を醸す

軽やかでふんわりした味わいの津軽味噌

 加藤味噌醤油醸造元がある青森県津軽地方で造られている「津軽味噌」とは米味噌のこと。麹歩合が低く塩分高め、3年の長期熟成を経るのが特徴で、赤色をしています。
 県産の大豆に自家製米を使用した木桶仕込み、お二人が造る津軽味噌を食べた第一印象は軽やか! 空気を含ませたこしあんのように柔らかく、旨味とキレがある味わいのバランスが絶妙です。長期熟成でしっかり濃い色味から、もっとどっしりした味わいなのかと思っていたので、すっきり軽やかな後味が想像と違って驚きました。

 3年熟成させる味噌といえば愛知県の豆味噌が有名ですが、こちらは水分少なめで固く、旨味の余韻が長い、津軽味噌とは真逆の味噌です。
 パッケージの外側から見ると、どれも同じように見えますが、食べてみると味噌それぞれの違いがあることに、あらためて気づかされました。そして、夫婦で造る味噌は二人の思いが重なって、その絶妙な味わいを生んでいるのかな、とも思ったのでした。

青森の伝統料理「貝焼き味噌」

 最近は貝殻が手に入らず特別なときにしか食べないそうですが、青森では貝殻を鍋代わりにして、ネギやかつお節などを味噌で煮込み、卵とじにする「貝焼き味噌」という郷土料理があります。このように、長期熟成の味噌には臭みを包み込むマスキング効果があるので、魚介料理におススメです。

 加藤ご夫妻の造る津軽味噌は、なめらか。煮込むとトローッとするので、和食ならブリ大根や角煮(八角を入れると最高の味です)、洋食ならデミグラスソースを使うような料理に向いていると思います。(つづく)

◆岩木さんセレクトのイチオシ味噌とおススメレシピ◆


加藤味噌醤油醸造元
 

「津軽味噌 赤味噌」


【種類】米みそ
【味】7割麹、塩分9.7%、辛口
【色】3年熟成、濃い茶色
麹が少なく塩分を感じる配合ですが、長期熟成の天然醸造で塩慣れしており、旨味とキレのバランスがいい味わいです。ほのかな酸味はお味噌汁にすると後味がすっきりし、津軽の郷土料理「けの汁」や「貝焼き味噌」に使用されています。

おススメレシピ

「味噌ブリ大根」


【材料】(2人分)
ブリ2切
塩少々
大根5〜6cm(200g)
a水200ml
a砂糖大さじ1
a酒大さじ3
aおろししょうが小さじ1
味噌大さじ2
貝割れの菜適量
【作り方】
1.ブリは塩をふり10分置く、大根は厚めに皮をむき4等分の輪切りにする
2. ブリの余分な水気をペーパーで拭き取り1切を3等分に切り、沸騰した湯を回しかける
3.鍋にaと大根を入れ強火にかけ、沸いたら弱火で10分煮て味噌を溶き、ブリを加え煮汁がとろっとするまで10分ほど煮る
4.器に盛り、貝割れの菜を添える
【ポイント】
先に大根だけ煮ることで、大根にも味が染みやすくなります

(写真提供:岩木みさき)

★岩木みさきさんが味噌との出会いや奥深い魅力について語るインタビュー「今こそ伝えたい、味噌の力」もぜひお読みください。

【実践料理研究家・岩木みさきのみそ探訪記】http://misotan.jp
ページの先頭へもどる
【いわき・みさき】
1988年神奈川県生まれ。10代のころに摂食障害や肌荒れに悩んだ経験から、食の大切さを実感して料理の道へ。病院栄養士として3年間勤務したのち、2012年に実践料理家として独立。その後、日本の伝統調味料である味噌に魅せられ、4年で日本各地60カ所以上の味噌蔵探訪を続け、その成果をWEBサイトやレシピ、イベントなどを通じて発信している。
新刊案内