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美しいくらし
南仏の食卓だより12カ月 マイ コートダジュール ツアーズ社長
ルモアンヌ・ステファニー
5月 ニースの人が知らないバルバジュアン

モナコグランプリ開催準備中のモナコ

ニースから車でたったの30分で行けるモナコ公国は、高級ホテルやカジノが並ぶ“セレブの国”。毎年5月末にはモナコグランプリが開催されることでも有名ですよね。私はニース生まれニース育ちとして、ニース料理をほとんど知っていると自信を持って言えますが、ガイドの仕事でお客さまをモナコにお連れしたときに初めて知ったのが、barbagiuans(バルバジュアン)です。手の平サイズで見た目は揚げ餃子にそっくり。スイスチャードやホウレンソウなどの野菜とリコッタチーズ、パルメザンチーズ、ガーリック、バジルなどを薄いパイ生地で包んで揚げた、モナコの郷土料理です。

モナコの「バルバジュアン」

「バルバジュアン」という少し不思議な名前の由来に関してはいくつか説がありますが、「barba(バルバ)」は「ひげ」で「ジュアン」は男性の名前、つまり「ジュアンのひげ」だという説があります。確かに、よく見ると男性のひげの形に似ている気もします。そしてもう一つが、モナコ語で「ジャンおじさん」という意味のバルバジュアンさんがラビオリを作った際、かけるソースがなかったので揚げてみたらおいしくて口コミで人気が広がったという説です。

自宅で手づくりする人もいるとは思いますが、バルバジュアンはどちらかというと外で気軽に買って食べるフィンガーフード。モナコのコンダミン地区のフードコート内にあるモナコ料理店「A ROCA」では1個1ユーロぐらいで売っているので、ちょっとおなかがすいたときに気軽に買えて便利です。カジュアルなお店だけでなく、3つ星の高級レストランでも食前酒のおつまみや前菜として提供されることがあるなど、バルバジュアンはモナコの国民食と言ってもいいでしょう。


カジノ広場に面したカフェ「Cafe de Paris(カフェ・ド・パリ)」でも食べられるんですよ。ランチやディナーの前菜としてもいいですが、テラス席でおつまみ用にオーダーして皆でシェアして食べるのがおすすめ。モナコビールかシャンパンを飲みながら高級車が行き交うセレブな雰囲気を楽しめば、最高の思い出になりますよ。

マントンの「バルバジュアン」

バルバジュアンはモナコの郷土料理ですが、実はモナコとイタリアの間に位置するマントンでも食べられます。なぜマントンでもバルバジュアンが食べられるかというと、歴史をさかのぼればわかります。マントンは1346年から1848年までの5世紀にわたってモナコ公国の一部だったので、伝統的な料理が似ているからです。
餃子のような形をしたモナコのバルバジュアンとは微妙に違って、お団子を2個つなげたような形ですが、味はほぼ同じ。マルシェの入り口にある老舗の屋台「CHEZ MIMI」が有名ですが、私のいちばんのお気に入りはマルシェの近くにあるカフェ「SINI」のバルバジュアン。出来立ての熱々を食べられます。

ところで、ニースの人でバルバジュアンを知らないのは私だけでありません。実は私の夫も知らなかったのです! そこで昨年、モナコのクリスマスマーケットに一緒に行ったときに「A ROCA」のブースがあったのでバルバジュアンを買ってあげたら、とても気に入っておかわりもしていました。(つづく)

【マイ コートダジュール ツアーズ】http://www.mycotedazurtours.com/
【mycotedazurtours Instagram】https://www.instagram.com/stephanie_francetrip/

『ニースっ子の南仏だより12カ月』


定価2200円(税込)

地元っ子ならではの視点で案内する
南フランス12カ月の暮らしと街歩きの楽しみ方

生まれ育ったニースを拠点に、日本人向け貸し切りチャーターサービスの専門会社を営む著者が、流暢な日本語を生かして綴る南フランスの日々の暮らしと街歩きの楽しみ方。1年12カ月、合計60のエピソードを収録。興味のある月やテーマを選んで気軽に読めるので、日々のちょっとした空き時間を使って太陽の光あふれる南仏コート・ダジュールを旅した気持ちになれる一冊です。4世代に伝わる家庭料理の簡単レシピも収録。
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【Stephanie Lemoine】
1979年フランス・ニース生まれのニース育ち。高校で第3外国語として日本語を選択、大学はパリにある国立東洋言語文化学院(Institut national des langues et civilisations orientales)で日本語と日本文学を専攻。大学時代の1年半、東京学芸大学に留学。ニースを拠点にした日本語ツアーや通訳、各種コーディネートなどを提供する「マイ コートダジュール ツアーズ」に、日本語ドライバーとして2008年から勤務し、10年に社長に就任。フランス政府公認ガイド。日本でのお気に入りの場所は宮島(広島県)と湘南(神奈川県)。大好きな鎌倉で老後を過ごすのが夢で、2人の息子たちには毎日欠かさず日本の話をしている。
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