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アンチエイジングの教科書
東海大学特任教授
石井直明
第4回 食事とは細胞が細胞を食べること㊦

細胞は巨大な化学反応の工場


 “ヒトの細胞が食物の細胞を食べる”という食事によって、ごく小さな分子になった炭水化物、脂質、タンパク質を取り込んだ細胞の中では、何が起こっているのでしょうか。
 答えは「代謝」です。代謝というと、「代謝が落ちて太りやすくなる」など、基礎代謝に代表されるエネルギー消費を指すことが多いですが、それは細胞内で行われている代謝の一部に過ぎません。細胞の中には何種類もの酵素(消化酵素とは異なるもの)があり、その作用で、炭水化物、脂質、タンパク質の分子がさまざまな物質に分解されます。そうしてできた物質が今度は別の酵素の作用により、細胞の分裂や修復、防御(免疫)などのために必要なタンパク質、脂質、糖につくりかえられていきます(合成)。
 私たちの生活を大きく変えてしまった新型コロナウイルスによって、あらためて注目されている免疫細胞も、もとをたどれば自分が食べた食物からできているのです。

 代謝とは、細胞の中で行われている分解と合成。ですから、細胞は巨大な化学反応の工場にたとえられ、複雑な代謝の仕組みを表した図は、A0サイズ(841mm×1189mm)の紙にようやく収まるくらい入り組んでいます。その中で最もよく知られているのが、「クエン酸回路」という炭水化物からエネルギーを作り出す代謝のプロセスです。

 体の維持や活動に必要なものの大半は細胞の中でつくることができますが、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうちの8種類と、ほとんどのビタミンやミネラル(微量元素)はつくることができません。つまり、外からの食事でとるしかないので、第1回「自分の体を知ることから始めましょう」でお話ししたように、ミネラルの1つが不足しただけでも代謝のバランスが崩れ、体の異常や病気につながっていきます。

 代謝の難しい仕組みはともかく、必要な物質が少しでも不足すれば細胞内の工場が正常に回らないということを知っていれば、キャベツだけを食べるように特定の食品しかとらないダイエットが、体にとっていかに危険なものかが理解できます。
 細胞に必要なものが日々、過不足なく届けられていると、細胞内の工場は正常に回り、細胞は生き生きします。そして、そういう人は見た目が若いのです。これは科学的にも明らかな事実ですが、細胞という部品の1つひとつが健康なのですから、全身が健康で生き生きしているのも納得できるでしょう。
 このように、体は食事で変わります。あなたの1日の食事内容をぜひ振り返ってみてください。(つづく)

構成・天野敦子
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【いしい・なおあき】
医学博士。1951年神奈川県生まれ。東海大学医学部教授を経て2018年より同大健康学部特任教授。専門は老化学、分子生物学、健康医科学。30年以上にわたり老化のメカニズムを研究し、世界で初めて老化と活性酸素の関係を解明。テレビや雑誌などでも幅広く活躍する。著書に『専門医がやさしく教える老化判定&アンチエイジング』『分子レベルで見る老化』『アンチエイジング読本』ほか。
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