鮮やかな色と個性的な柄との組み合わせが楽しい銘仙の冬コーデを紹介します。
前編では椿模様の伊勢崎銘仙でしたが、こちらは梅をあしらったサーモンピンクの八王子銘仙です。チェック柄のように見えるのは「甲比丹(カピタン)織り」といわれる技法です。地紋のある織物は八王子の特徴で、風合いに高級感があることからネクタイなどにも使用されています。着物には緑と白の曲線が波のように入っていますが、同じ緑と白でも帯は曲線ではなく直線。2色のすっきりしたデザインの博多帯です。着物のピンク色をメインに、緑をアクセントにした早春にぴったりの装いです。
次は、派手なピンク地が目を引く伊勢崎銘仙です。このピンクの染料は1930年代によく使われたものですが、有害物質が含まれていることがわかり、使用するのを禁じられました。このように発色のよいピンクは珍しく、時代を感じさせる貴重な織物の一つです。柄はコウモリのようにも見える可愛いスズメです。よく見ると、スズメの頭部に金や銀の緯糸が使われていて、細かい工夫が凝らされていると思います。帯は黒繻子に大輪の梅、桜、牡丹の美しい花々が見事に刺しゅうされたもの。何色もの糸でつくるグラデーションが豪華で手仕事のすばらしさに感動します。
最後は足利銘仙です。経糸に柄を染め、柄を強調するように緯糸に絣を重ねる「半併用(はんへいよう)」という技法で、濃淡をつけることでスポットライトが当たるような奥行きと、柄全体に動きを出すことができます。西洋芸術をイメージさせるような図柄が多いのも特徴です。このバラの着物もその一つで、柄や色使いがとってもモダン。アールデコの雰囲気がイギリスっぽいと感じました。黒繻子の帯は、縞模様が珍しく、菊や南天、梅をあしらった花かごの刺しゅうもかわいいです。
さまざまな銘仙を紹介しましたが、あなたはどの色や柄が気になったでしょうか? 「足利うさぎや」でお気に入りを探してみてくださいね。(つづく)

「足利うさぎや」のスタッフの皆さんと。左から3人目が代表の大竹麻実恵さん
(撮影:下條祐美)
★シーラさんのInstagram
https://www.instagram.com/kimonosheila/★「足利うさぎや」のホームページ
https://www.xn--p8jqu3q.com/★
シーラさんが訪ねた着物屋さん【足利うさぎや】https://www.instagram.com/ashikagausagiya/住所:栃木県足利市大門通2380-1
営業:11:00~17:00、土日祝10:00~17:00
定休:月・火曜
産地によって織り方が異なる関東一円の銘仙を取りそろえた、見るだけでも楽しい“銘仙コレクション”のようなお店。「戦前から多彩なデザインに挑戦してきた銘仙には時空を超えた面白さがあります」。そう話すオーナーの大竹麻実恵さんは、普段着として位置づけられた銘仙を入り口にして着物を着る楽しさにふれてほしいと、色や柄が豊富な銘仙の魅力を「織物の町」として栄えた地元・足利から発信している。
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