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アンチエイジングの教科書
東海大学特任教授
石井直明
第6回 栄養が左右する免疫力㊤

体内に入り込んだウイルスや細菌を退治する免疫の力


 新型コロナウイルスによる新規感染者数の推移は一進一退で、収束のめどは立たず、世界中で多くの人が命を落としています。
 重症化のリスクとして、前回触れた生活習慣病などの基礎疾患とともに挙げられるのが高齢者。その理由は、老化に伴い体内の免疫機能が低下するからだと考えられます。免疫力を高めておくためにもアンチエイジングがキーワードになるというわけですが、その方法などをお話しする前に、少し感染症について触れておきましょう。

 感染症とは、大気や水、土壌、それにヒトを含む動物などに存在する病原体(病原性の微生物)が体内に侵入することで引き起こされる病気のこと。病原体は大きさや構造によって、ウイルス、細菌、真菌(カビ)、原虫(寄生虫)に分類されます。このうち、細菌はヒトの細胞の中には侵入することができず、抗生物質の投与によって退治することができます。一方、自己増殖ができないウイルスは細胞(宿主)に入り込み、子孫をつくらせます。ウイルスには抗生物質は効きません。

 感染経路は病原体によりさまざまで、代表的なものは、咳やくしゃみで出た飛沫が鼻や目などの粘膜に付着して起こる飛沫感染(インフルエンザなど)、飛沫から水分が蒸発した飛沫核やほこりなど空気中の浮遊物を吸い込むことで起こる空気感染(結核、麻疹など)、病原体の付いたドアノブや食べ物を介しておこる接触感染、病原体で汚染された水や食べ物による経口感染(食中毒)、ほかに粘膜感染や性行為感染(エイズ、クラミジア、淋病、梅毒など)、輸血などによる血液感染(B型肝炎、C型肝炎など)、蚊に刺されたり動物にかまれることで感染する経皮感染(マラリア、ジカ熱など)があります。
 新型コロナウイルスの場合は、接触感染や「エアルゾル」と呼ばれる霧状の微粒子となった飛沫や飛沫核を介して感染することがわかっています。

 感染症にかからないようにするには、病原体が体内に侵入しないように感染経路を断つこと。すなわち、予防がなによりも重要です。感染力の強い新型コロナウイルスの場合でも、よくいわれるように密閉・密集・密接の「3密」を避けることや、せっけんでの手洗いやアルコールによる手指消毒、それにマスクの着用などが有効とされるのは、接触感染や飛沫感染を防ぐ文字通りの水際対策です。

体には、細菌やウイルスが体内に侵入することを防ぐさまざまな防御機能が備わっている


 そもそも、私たちの体は皮膚と粘膜によって病原体の侵入を防いでおり、鼻水や涙、汗や皮脂、また胃酸や消化液などの成分にはある程度の殺菌作用があります。大腸にすんでいる腸内細菌が栄養を独占することで、悪い細菌(病原菌)が繁殖するのを防ぎ、もし細菌が腸内で増殖してしまったとしても下痢を起こして排除することができます。
 問題は、そのような万全の防御をしても、目に見えないウイルスは隙をついて体内の細胞にまで入り込んでしまうこと。そのようなときに体を守ってくれるのが、私たちの体に備わった免疫の力です。(つづく)

構成・天野敦子、イラスト・斉木恵子(シンプラス)
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【いしい・なおあき】
医学博士。1951年神奈川県生まれ。東海大学医学部教授を経て2018年より同大健康学部特任教授。専門は老化学、分子生物学、健康医科学。30年以上にわたり老化のメカニズムを研究し、世界で初めて老化と活性酸素の関係を解明。テレビや雑誌などでも幅広く活躍する。著書に『専門医がやさしく教える老化判定&アンチエイジング』『分子レベルで見る老化』『アンチエイジング読本』ほか。
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