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フランスの田舎暮らし12ヵ月
写真と文
木蓮
9月 シャンブル・ドット


 フランスで田舎暮らしをする私にとって、「旅」は多くの刺激を与えてくれます。

 旅の楽しみ方はいくつもありますが、とりわけ私にとっての楽しみは、各地にある小さなホテルやシャンブル・ドットに滞在することです。

丹精込めた庭を歩くのも楽しい

 もともと、インテリアの仕事をしていたこともあり、フランスのホテルやシャンブル・ドットのインテリアを見るのは大好き! 各地で、オーナーさんのセンスが伝わるインテリアや、丹精込めた庭に出合うと、村を歩く時間を削っても、素敵な部屋の写真や中庭の写真を撮影することに、ついつい時間をかけてしまいます。


インテリアにもオーナーのセンスが光る

 日本ではあまり使われないビビッドなカラーを取り入れた独特なインテリアも、オーナーのセンスが光り、フランスの田舎にはお似合いです。

 オーナーさんたちとの出合いはさまざま。一期一会となることもありますが、フランスにきたばかりのころ、言葉がままならないまま旅をする私のことを、娘のように温かく見守ってくださったご夫妻もいらっしゃり、素晴らしい旅の記憶とともに、今でも大切な友人として親しくしていただいています。

 そんな中、今年の誕生日には、あるシャンブル・ドットで私の誕生日を祝っていただきました。
 気取らない家庭料理と美味しいワイン……。

誕生日のディナー

 何よりもうれしかったのは、私のために白バラの真ん中に赤いバラを入れ、日の丸を作ってくれたことでした。
 オーナーのご友人も訪ねてくださり、英語やフランス語を交えながら皆さんと空けたワインは、最高の思い出となりました。

 多くのオーナーさんたちとお話ししてみると、皆さんシャンブル・ドットをやり始めたきっかけはさまざま。
 もともとパリに住んでいて、老後は田舎でゆっくり暮らそうと思った方や、子供たちが巣立ったことをきっかけに、住んでいた所よりもっと田舎に家を買い替え、建物を自分たちの手でリノベーションして始められたり……。


家庭に招かれたような温かさも魅力

 どのオーナーさんたちも、うらやましいほど夫婦仲がよく、お互いのことを尊重し合っていることを強く感じます。フランスの男性はことさら奥さまのことを褒めるのが上手! 奥さまがいないところでも、「彼女は本当に料理が上手なんだ」とか、「今まで本当に素晴らしい仕事をしてきたんだよ」とか、「彼女はいつでも人のために一生懸命なんだ」と自慢してくれます。

「田舎で暮らすには何が必要ですか?」
 この質問をすると、皆さん口々に「やっぱり、動物がいないとね~。家族の一員なんだ」とおっしゃいます。

広い庭先にはシカが遊びにくることも

 その言葉通り、多くのシャンブル・ドットには犬や猫だけでなく、ロバや羊、馬、ニワトリなど、どこにいっても多くの動物と出合います。
 時には、庭先に野生動物がひょっこり遊びにくることも……。

 今年訪ねたシャンブル・ドットやホテルはすでに45件をこえ、どの地方にも忘れがたい思い出ができました。
 さて、今年もあと数カ月。
 これからまた、どのような出合いがあるのか楽しみです!


【今回の“とっておき”は……】
シャンブル・ドット


手づくりのジャムなど朝食も楽しみのひとつ

 シャンブル・ドット(Chambre d'hôte)の「Chambre」は部屋(寝室)、「hôte」はオーナーという意味。さまざまなタイプがありますが、一般的には家庭のゲストルームを宿泊者に提供していて、オーナーさんも同じ建物の中、もしくは敷地の中に住んでいるため、家庭に招かれたような温かさが魅力の一つとなっています。
 ホテルに比べてると部屋が広く、ゆったりと過ごせるので、ヨーロッパでは人気が高く、シャンブル・ドット専用のサイトもあるほど。多くは朝食付きで、比較的ホテルよりも安価に滞在できるのも魅力ですが、基本的に車がないと不便な郊外にあることが多く、日本人には訪れにくいかもしれません。それでも、インテリアにはオーナーの好みが色濃く出ていることが多く、庭も可愛いので、特に女性にはとても好まれています。
 オーナーの考え方やセンスが直接出るため、どのシャンブル・ドットに泊まるか、じっくり選びましょう。


★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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