フランスで田舎暮らしをする私にとって、「旅」は多くの刺激を与えてくれます。
旅の楽しみ方はいくつもありますが、とりわけ私にとっての楽しみは、各地にある小さなホテルやシャンブル・ドットに滞在することです。

丹精込めた庭を歩くのも楽しい
もともと、インテリアの仕事をしていたこともあり、フランスのホテルやシャンブル・ドットのインテリアを見るのは大好き! 各地で、オーナーさんのセンスが伝わるインテリアや、丹精込めた庭に出合うと、村を歩く時間を削っても、素敵な部屋の写真や中庭の写真を撮影することに、ついつい時間をかけてしまいます。

インテリアにもオーナーのセンスが光る
日本ではあまり使われないビビッドなカラーを取り入れた独特なインテリアも、オーナーのセンスが光り、フランスの田舎にはお似合いです。
オーナーさんたちとの出合いはさまざま。一期一会となることもありますが、フランスにきたばかりのころ、言葉がままならないまま旅をする私のことを、娘のように温かく見守ってくださったご夫妻もいらっしゃり、素晴らしい旅の記憶とともに、今でも大切な友人として親しくしていただいています。
そんな中、今年の誕生日には、あるシャンブル・ドットで私の誕生日を祝っていただきました。
気取らない家庭料理と美味しいワイン……。

誕生日のディナー
何よりもうれしかったのは、私のために白バラの真ん中に赤いバラを入れ、日の丸を作ってくれたことでした。
オーナーのご友人も訪ねてくださり、英語やフランス語を交えながら皆さんと空けたワインは、最高の思い出となりました。
多くのオーナーさんたちとお話ししてみると、皆さんシャンブル・ドットをやり始めたきっかけはさまざま。
もともとパリに住んでいて、老後は田舎でゆっくり暮らそうと思った方や、子供たちが巣立ったことをきっかけに、住んでいた所よりもっと田舎に家を買い替え、建物を自分たちの手でリノベーションして始められたり……。

家庭に招かれたような温かさも魅力
どのオーナーさんたちも、うらやましいほど夫婦仲がよく、お互いのことを尊重し合っていることを強く感じます。フランスの男性はことさら奥さまのことを褒めるのが上手! 奥さまがいないところでも、「彼女は本当に料理が上手なんだ」とか、「今まで本当に素晴らしい仕事をしてきたんだよ」とか、「彼女はいつでも人のために一生懸命なんだ」と自慢してくれます。
「田舎で暮らすには何が必要ですか?」
この質問をすると、皆さん口々に「やっぱり、動物がいないとね~。家族の一員なんだ」とおっしゃいます。

広い庭先にはシカが遊びにくることも
その言葉通り、多くのシャンブル・ドットには犬や猫だけでなく、ロバや羊、馬、ニワトリなど、どこにいっても多くの動物と出合います。
時には、庭先に野生動物がひょっこり遊びにくることも……。
今年訪ねたシャンブル・ドットやホテルはすでに45件をこえ、どの地方にも忘れがたい思い出ができました。
さて、今年もあと数カ月。
これからまた、どのような出合いがあるのか楽しみです!
【今回の“とっておき”は……】
シャンブル・ドット

手づくりのジャムなど朝食も楽しみのひとつ
シャンブル・ドット(Chambre d'hôte)の「Chambre」は部屋(寝室)、「hôte」はオーナーという意味。さまざまなタイプがありますが、一般的には家庭のゲストルームを宿泊者に提供していて、オーナーさんも同じ建物の中、もしくは敷地の中に住んでいるため、家庭に招かれたような温かさが魅力の一つとなっています。
ホテルに比べてると部屋が広く、ゆったりと過ごせるので、ヨーロッパでは人気が高く、シャンブル・ドット専用のサイトもあるほど。多くは朝食付きで、比較的ホテルよりも安価に滞在できるのも魅力ですが、基本的に車がないと不便な郊外にあることが多く、日本人には訪れにくいかもしれません。それでも、インテリアにはオーナーの好みが色濃く出ていることが多く、庭も可愛いので、特に女性にはとても好まれています。
オーナーの考え方やセンスが直接出るため、どのシャンブル・ドットに泊まるか、じっくり選びましょう。★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/
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