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フランスの田舎暮らし12ヵ月
写真と文
木蓮
1月 リンゴのケーキ
 フランスの真ん中・オーヴェルニュに住む『フランスの花の村を訪ねる』の著者・木蓮さん。その豊かな田舎暮らしの日常を美しい写真とともに紹介する毎月1回の新連載です。前回に続き、1月は特別に2回に分けてお届けします。家族が集まるにぎやかなお正月が過ぎ、ホッと一息、気の置けない友人と楽しむティータイム。そこに彩りを添えるのは、旬のリンゴをふんだんに使った手作りのケーキです。


 冬のこの時期、マルシェを歩くと、とにかくよく見かけるのが赤、緑、黄色……とさまざまな色や種類のリンゴたち。フランス人はこんなにリンゴを食べるの? と思うほど、箱からこぼれ落ちそうになったリンゴが売られています。

 値段が安い上に近所の方からいただくことも多いリンゴは、冬のお菓子の定番。リンゴのお菓子は昔からたくさんありますが、とりわけ夫や子どもたちが好きなのは、フランス名物の「タルトタタン」です。
 最初はなかなかカラメル部分が固まってくれず、作りながら試行錯誤の日々。それでもやっと、自分なりに「フランスのリンゴで作るタルトタタン」のレシピが出来ました。
 毎回、異なるリンゴの水分を見ながらのタルトタタン作りですが、おかげでお菓子作りの奥深さを教えてもらった気がします。今年、最初のタルトタタンには、昨年作ったばかりの「自家製クレーム・ド・カシス」を入れてみました。

冬のマルシェには、多くの種類のリンゴが並ぶ。それぞれの特徴を生かして料理やお菓子づくりに使う
 



 そして、初挑戦したのが、今や日本でも人気のある「リンゴのバラタルト」。お正月料理作りで余ってしまったマスカルポーネを下に敷き、甘くないタルトを作ることにしました。
 ピンクのバラは、リンゴの皮から抽出したエキスでリンゴを煮込み、黄色は緑の皮から出た淡い緑色を抽出したもので煮込んでいます。鮮やかな緑を出したかったので、さんざん悩んだ挙句にキウイも使ってみることにしました。この季節、手に入ったキウイはまだまだ固かったので、レモンを絞りお砂糖を振りかけ、30秒ほど電子レンジへ。私なりに納得のいく色鮮やかなバラタルトが完成しました。

 友人が訪ねてくれてたので、写真を撮りながらの楽しいティータイム。こんな風にお菓子作りを通して、田舎暮らしを楽しんでいます。(つづく)

             【今回の“とっておき”は……】
              タルトタタン
 「タルトタタン」発祥の地は、パリからオルレアンに南下し、さらに40kmほど下ったサントル=ヴァル・ド・ロワール地方にある人口5000人弱の小さな街、ラモット・ブーヴロン(Lamotte Beuvron)。

この街にあるオテル・タタンのオーナーであったタタン姉妹がある日、リンゴのタルトを作ろうとしていたところ、お客さんとの話に夢中になってしまいうっかりタルト生地を入れ忘れたままリンゴを焼き始めてしまいました。せっかく作り始めたので上からタルト生地をかぶせてさらに焼いたところ、「美味しい!」と評判になり、レシピが広まっていったという、いかにもフランスらしい有名な逸話があります。ラモット・ブーヴロンでは、毎年9月に「タルトタタン祭」が開かれています。



★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

※WEB連載原稿に加筆してまとめた『フランスの花の村を訪ねる』が(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)絶賛発売中です。
WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
WEB連載「フランスの花の村を訪ねる」はこちらをご覧ください。
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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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