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フランスの田舎暮らし12ヵ月
写真と文
木蓮
4月 春の味覚

春のマルシェに並ぶホワイトアスパラ


「すっかり、春の景色に変わったね!」
 夫と山のぼりに出かけると、目の前にはグレーからすっかり緑に変わった大地が広がっていました。
「メェー」
 夢中で牧草を食むママにピッタリと寄り添う子ヒツジたちの甘えた声が、少し暖かくなってきた風に乗って賑やかに聞こえてきます。
 あたり一面に咲く野の花が春の喜びを鮮やかに彩り、夕陽に照らされた丘を駆け上がる鹿のなんと美しいこと!

見つけるとうれしいアミガサタケ

「昨日、散歩中に見つけたよ」
 夫が見せてくれたのは、フランスで人気のあるキノコの一つ、黒アミガサタケ(Morille noirse=モリーユ)。
 翌日は、ワクワクしながら山に出かけることになりました。
 アミガサタケは春の訪れとともに、枯葉の中からひょっこりと顔を出します。枯葉と色が似通っているので、見つけるのがなかなか難しいキノコです。

「あったー!」
 私が声を上げると、「シーッ!」と夫にたしなめられました。実は私の住む村の近辺はアミガサタケがよく採れるらしく、それ楽しみに遊びに来る人も多いのです。皆が採りに向かうところを避け、秘密の場所で探すのが、わが家のやり方。
 ここでこっそり、フランスでのアミガサタケの見つけ方を教えましょう。まずは、セイヨウミザクラ(Merisier=ムリジエ)か、トネリコ(Frêne=フレーヌ)の木を探します。アミガサタケは、その周りに生えていることが多いのです。
 もし、日本ではまた別の探し方があるようでしたら、教えてくださいね。


ラムソンの天ぷら

茹でたホワイトアスパラにソースを添えて

 こうして収穫したキノコは、そのまま食べることもありますが、乾燥させ保存食に。クリーム煮にしたり、パスタや肉料理のソースに使い、いつでも季節の恵みを楽しむことができます。

 キノコ探しの副産物として、ラムソン(L'ail des ours)という野草も採ってきます。この葉を口に含むと、ニンニクの香りでいっぱいに。日本では「クマニラ」と呼ばれるそうで、サラダにあえるだけでなく、野草の定番「天ぷら」にして楽しみます。

 さて、オーヴェルニュのマルシェにもホワイトアスパラを見かけるようになりました。
 このホワイトアスパラの人気は私の予想以上! フェイスブックに写真を載せると、「私も大好きです!」と多くの声をいただきました。
 まさに春の味ですね。(つづく)


【今回の“とっておき”は……】
ホワイトアスパラ


収穫されたばかりのアスパラ

 わが家のホワイトアスパラは、陽に当てないように頭を見つけたらすぐに収穫します。土の中に埋まっているアスパラを、細長い棒状の秘密の道具で掘り起こすのです。わが家でも、少し前までホワイトアスパラを自宅で採っていました。自家製のものは、小さいけれどぷっくり。
 スープやサラダなどさまざまな調理法がありますが、わが家は、根元の皮をしっかりむいて塩ゆでにし、自家製のマヨネーズで食べるのが大好き。いろいろなソースを作って味を変えながら、皆で取り合いして食べるのもわが家の春の食卓の風物詩です。


★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

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WEB連載「フランスの花の村を訪ねる」はこちらをご覧ください。
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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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