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フランスの田舎暮らし12ヵ月
写真と文
木蓮
11月 フランスパン


 とにかくパン屋さんが多い神戸で育った私は、昔からパンが大好き! その上、両親がパン好きだったため、朝食にはいつも地元の美味しいパンが並んでいました。

 昔はなんの疑いもなく「フランスパン」と呼んでいたパンが、「バゲット」という名前だと知ったのは大人になってからのこと。そういえば、「ポワール(洋梨)」のことも「ラ・フランス」と呼んでいたなぁと懐かしく思い出しました。
 

さまざまなフランスパン。手前が「マルグリット」

 フランスに住んでから一番驚いたのは、日本のパン屋さんのような「惣菜パン」を見かけないこと。
 もちろん、都会に出れば美味しそうなサンドイッチやピザパン、キッシュなどを見かけますが、私が住むオーヴェルニュの小さな村のパン屋さんは、バゲットやクロワッサン、パン・オ・ショコラなど、毎日食べるパンがメインで、毎朝パン屋を訪れる人たちも珍しくありません。

 また、よく知られていることかもしれませんが、フランスで作られるバゲットは、小麦粉(中力粉、強力粉など)、酵母(イーストや天然酵母)、塩、水のシンプルな材料のみ。今まで、バターや卵を入れるパンしか焼いたことのなかった私には、少しハードルの高いパンでもありました。


天然酵母のパン

 ちなみに、フランスパンにはさまざまな種類があり、成型方法の違いや分量の割合などで、こと細かく名前があります。
 私が大好きなのは、「マルグリット」。フランス語で「マーガレット」のことで、まるで花が咲いたような可愛らしいパンです。私はこれを一つずつちぎって食べるのがなぜだか大好きで、見かけるとよく買っています。

 パンが大好きな私ですが、フランスに住んでから9年が過ぎた今年、とうとう「天然酵母パン」を作ることにしました。
 きっかけは、庭に実るブドウを使う天然酵母の作り方を教えていただいたからなのですが、これが本当に面白く夢中に。


ブドウからつくった天然酵母

満月の酵母を使った発酵

 初めて焼いたのはビギナーズラックで、そこそこ焼けたのですが、2回目、3回目と失敗し、4回目でやっと夫から合格点をもらいました。

 うちの夫は焦げるくらいしっかり焼けたパンが好きなので、ただいま練習中ですが、少しずつコツをつかんできたところ。

 前回ご紹介した「月」の力がどれくらいあるものなのか知りたくて、新月からの酵母、中間の酵母、満月にかかった酵母の3種類それぞれでパンを焼いてみたのですが、満月の酵母を使うと、びっくりするくらいの発酵力。

 こんなふうに自宅のブドウを使ってパンを焼くようになるとは思いもよりませんでしたが、自然とともに暮らすのは、日々新しい発見があり感動の連続です。これから、グルテンフリーのパンの研究をしようと考え中です。


【今回の“とっておき”は……】
パンの種類



 いちばん左端のパンは「フィセル」。ひもという意味の細長いパンで、パリッとした感触が私の好みです。真ん中は一番基本の「バゲット」。右端が「パリジャン」とよばれるパンで、「バゲット」に比べると太目なため、中がしっとりしています。人それぞれ、焼き加減にも好みがあり、お気に入りのパン屋さんに頼んで自分好みのパンを取り置きしてもらってる人も。いちばん面白いのは、「キニョン」と呼ばれるパンの端っこ。フランス人が小脇に抱えているバゲットを見ると、たいていありません。そう、みんな我慢できずにこのキニョンをパクッ! それくらい、焼き立てのパンは彼らにとっての御馳走なのです。


★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

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WEB連載「フランスの花の村を訪ねる」はこちらをご覧ください。
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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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