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フランスの田舎暮らし12ヵ月
写真と文
木蓮
6月 エルダーフラワー

サクランボのクラフティにエルダーコーディアルの炭酸割りを添えて



「この香り、なんだろうね~」
 春の優しい雨上がり、旅仲間と一緒に、南仏プロヴァンスにある美しい花に囲まれたユゼスの街を歩いていると、どこからともなくさわやかで、かつ力強い香りが漂ってきました。

エルダーフラワーが咲くユゼスの街

 その元をたどり、ふと路地裏の細い道に目をやると、たわわに咲く真っ白な花が。

「ああ、あれはエルダーフラワーよ」

 そう、この白い花が最近、日本でも人気のエルダーフラワーです。
 和名は「西洋ニワトコ」、フランス語では「シュロ―・ノワール)」。ノワールは、「黒」。花が終わり、暑さが和らいだころに黒い実をつけることから、この名前がつけられたそうです。
 インスタグラムやフェイスブックに写真を載せると、意外なことに「花を見たことがなかった」と、多くの方からコメントをいただきます。

 ニワトコの木を見ると、つい思い出すのが大好きな『ハリーポッター』の話に出てくる伝説の「死の秘宝」の一つ、「ニワトコの杖」。ですから、初めてこの木を見たときにはちょっとうれしくて、こっそり枝を折って杖にしてみました。


庭先のエルダーフラワーを摘んで

サクランボは今が旬

 私が住むオーヴェルニュでは、5月の末になると丘や畑が真っ白になるほどエルダーフラワーが咲きます。わが家の玄関先のバラの下にも、鳥が種を運んだのか芽を出してぐんぐん成長してしまい、バラが弱ってしまったので仕方なく抜いたほど。

 さて、このエルダーフラワー、人気の理由は、花からつくる「エルダーコーディアル」と呼ばれるシロップ。これが美味しいと評判なのです。私にとって「マスカット風味」のこのシロップ、うちの子どもたちに言わせると、「ライチ味」なのだそう。最初はけげんな顔をしていた夫も今では大好きになり、近所の人に勧めるほどに。

 ちょうどエルダーフラワーが咲いている時期に、わが家ではサクランボも真っ赤に実りました。
 そこで早速、夫の大好物「サクランボのクラフティ」を焼くことに。せっかくなので、洗って乾燥させたサクランボを、エルダーフラワーコーディアルにくぐらせて焼いてみると、これが大正解!
 ほんのりとエルダーフラワーの香りが残る、おいしいおやつに大変身! もちろん、シロップの炭酸割りも添えて。
 さわやかな香りは、田舎暮らしの初夏の楽しみの一つです。

※クラフティは、タルト型に生地を敷いて果物を並べ、鶏卵、牛乳、生クリーム、砂糖、小麦粉を混ぜた生地でおおい焼き上げた菓子。


【今回の“とっておき”は……】
エルダーコーディアル

摘みとった花はつぶさないようにさっくりと

こしたシロップはお菓子づくりや炭酸割りに


 ママンからもらったフランスのレシピから、私なりにアレンジしました。

? エルダーフラワーの生花50輪に対し、オーガニックレモン(ワックスがかかっていないもの)2個、砂糖500g(加減はお好みで)、100mlの水を加えてササッと混ぜ合わせ、一晩置いておく。
? 翌日、さらに水900mlを加え、鍋でコトコト10分ほど煮出す。
※フランスのレシピには「絶対に沸騰させないことが大切」とあるので、このときばかりはいつも鍋とにらめっこ。
? 完全に冷めてからこして、瓶の中へ入れて保存します。



★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

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WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
WEB連載「フランスの花の村を訪ねる」はこちらをご覧ください。
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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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