
フリュイ・ルージュ(赤い果実)をふんだんに使ったお菓子
「今日は暑いね!」
朝の新鮮な空気を入れるために窓を開けると、鳥のさえずりとともに村人たちの声が聞こえてきました。
普段はのんびりしたわが村も、麦の収穫が始まるこの時期は、多くのトラクターが行き交い、農家の人達は大忙し。夜通し仕事をしている農家の方たちも見かけます。
トラクターにライトがついているのを知ったのは、フランスに来てそんな光景を目にしてから。初めて見たときは、驚きました。
「いつごろ、収穫する?」
6月も終わりに近づくと、夫とフリュイ・ルージュ(Fruit rouge=赤い果実)の収穫時期を話し合います。
旅のシーズンでもあり、私が仕事をいくつか抱えるため、収穫するタイミングが非常に重要なのです。
5年ほど前に、挿し木で20株ほどに増やしたグロゼイユ、カシス、フランボワーズ、ヨスタベリー……。それらが一気に赤く色づいてしまうこの時期は、とにかく大忙し!
あまり熟しすぎると虫も入りやすく、収穫後すぐに処理をしないと傷んでしまいます。ですから、できるだけ収穫した当日にコンフィチュール(ジャム)や果実酒にしたり、すべてを「赤い果実」として混ぜ合わせて使ったりします。

カシス・ヨーグルト・ソルベ
そんな保存食づくりの合間、大きくてきれいな実を使ってお菓子をつくります。
今年はあまり出来がよくなかったわが家のイチゴも、タルトや焼き菓子にして楽しみます。
ちょうど暑くなるこの季節、簡単にできて子どもも夫も大喜びするのが、クレーム・ド・カシスを使ったアイス。ほかにも、フローズンヨーグルトとカシスを合わせたアイスに、フルーツを盛って小さなパフェにしたり、水や炭酸水でクレーム・ド・カシスを割り、そのまま固めた大人のアイスキャンディーを作ったり……。

溶けても楽しめる? アイスキャンディー
SNSでも紹介したことがありましたが、このアイスキャンディーの持ち手部分は少し変わっていて、溶けたアイスがたまったら、ストローになっている左の突起部分から飲むことができます。
ちょっと面白いアイデアグッズ。
この夏は、何回登場するでしょうか?
【今回の“とっておき”は……】
わが家のクレーム・ド・カシス

ママンから引き継いだ古いレシピ

この状態からさらに実をつぶしていく
クレーム・ド・カシスとは、カシスを使った甘みの強いリキュール。ブルゴーニュ地方のものが有名です。
EUでは、「1リットルあたり400グラム以上の糖分を含まなくてはならない」との規定があり、フランスだけでもさまざまなレシピが存在しますが、私は亡きママンがくれたフランスの古いレシピを活用しています。? まずは、収穫したカシスから余分な葉や茎をなるべく取り去り、軽く洗って干した後、カシスの実をしっかり潰します。
? その後、赤ワインを加えて48時間ほど寝かせます。このレシピによると、1.5キログラムのカシスに対して2リットルの赤ワインを加えます。
? 48時間経ったらしっかり濾して、その後、液体と同じ量の砂糖を加え火にかけます。沸騰直前に火を止め、人肌くらいに冷めたところで、しっかり瓶詰してできあがり。
わが家では、その後、カーブで保存しています。★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/
※WEB連載原稿に加筆してまとめた『フランスの花の村を訪ねる』が(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)絶賛発売中です。
WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
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