
カマルグの塩に、トウガラシやハーブをブレンド
フランスで有名な三大塩の産地といえば、まずは日本でもたいへん人気があるペイ・ド・ラ・ロワール地方のゲランド、次に大西洋に面したヌーヴェル=アキテーヌ地方にある港湾都市ラ・ロシェルの西方に浮かぶ、レ島(イル・ド・レ)、そしてもう一つが、南仏アルルからさらに南下した湿原地帯であるカマルグです。

濃いピンク色に染まる塩田

干潟ではフラミンゴがエサをついばむ
わが家では夕食後、毎日のように食べるフロマージュ。塩は、このフロマージュ作りに欠かせないものの一つです。
仕事でときどきフロマージュ農家を訪ねると、「La Baleine(ラ・バレーヌ)」と書かれた大きな塩の袋を見かけます。この塩の産地が、カマルグです。
ここの塩田は、なんとピンク色! その正体は、アルテミア・サリーナあるいはブラインシュリンプと呼ばれる塩水湖に住む小さなエビやカニの仲間です。
カマルグの西に位置する町エーグ=モルト(Aigues-Mortes)の近辺では、塩田に野生のフラミンゴが訪れ、エサをついばみます。

カマルグの塩のパッケージ

自家製ハーブ塩をつくる
ちなみに、産まれたときには白いフラミンゴの赤ちゃんが、成長するにつれピンク色になっていくのは、β-カロテンなどの天然色素を含むアルテミア・サリーナやスピルリナ(藻類)を摂取するからだといわれています。ですから、このようなエサをとれない動物園のフラミンゴには、羽をピンク色に保つために色素を補ったエサを与えているのだそうです。
そんな神秘的な塩田からとれたカマルグの塩。塩湖はピンク色だというのに、乾燥すると真っ白!! わが家でも、毎日愛用しています。
塩を自宅で採れたローリエやタイムなどと一緒に細かくすりつぶし、魚や肉にかけると、風味豊かな料理に大変身!
普段から食事に使っている塩が、雄大な自然の中で作られたものだと思うと自然の恵みに感謝したくなりますね。
【今回の“とっておき”は……】
フルール・ド・セル

塩がところどころピンク色に見えるのは、トウガラシを混ぜているため
塩の中でもフルール・ド・セル(fleur de sel)として売られているものは、質のよい大粒の塩。マレ・サラン (marais salants) と呼ばれる塩田に海水を引き込み、風と天日によって乾かされた後、表面に浮いた結晶のみを採取したもので、世界中の料理人に人気があります。
粒は1mm以上の大きさがあるため、わが家では食卓で各自がミルで挽きながら肉、魚、サラダなどにかけ、自分好みの味付けをします。また、塩を細かく砕いたあと、レモンの皮やチャイブ、ニンニクなどを細かく粉砕して混ぜ込み、その日に食べる分だけハーブ塩を作ることも。ゆでたまごやジャガイモ、野菜などをシンプルな味付けで食べたいときは、もっぱらハーブ塩を使うのがわが家流です。★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/
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