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子どものこれから
将棋×子育てのイイ関係 女流棋士
中倉彰子
第9回 将棋教室に通わせた親のリアルな声(上)
将棋を通じて親が期待すること
 将棋教室の体験会に参加してくださった保護者には毎回アンケートをお願いしています。「お子さんに将棋を通して育んでほしいものはなんですか?」の質問には、「考える力」がダントツでトップ。続いて「集中力」や「礼儀作法」の項目にもチェックが入り、学力や生活態度への好影響を期待されていることがわかります。
 
 それから、「子どもが好きな将棋をいろいろな人と対局させてあげたい」という声もあります。最初は親子で一緒に覚えたけれど、「私がついていけなくなってしまって……」というお母さん。子どものほうがすぐに覚えて強くなる、のは将棋界ではアルアルの話です。「自分は相手をしてあげられないけれど、このまま子どもの『好き』という気持ちを伸ばしてあげたい」。そんな親心から通わせるケースも見られます。
 
 そのほか多いのが、どこの家庭でも深刻なテレビゲームやスマホの問題です。特に男の子は本当にゲーム好きですよね。わが家の長男もルールがなければきっと何時間でも夢中でやってしまうのはなないかと心配します。「目にも悪いし、なんとかこの時間を少なくしたい」という親の悩みは切実。「どうせゲームをするなら、電子機器ではなくアナログなボードゲームで……」と、体験会に参加される方も多く、「将棋を習い事に」と考える親御さんの思いはさまざまです。

イラスト:高野優


3分間の集中!
 では、将棋教室に子どもを実際に通わせている保護者の方は、今どのような感想を持たれているのでしょう。
「好きな物事に対して時間を忘れるくらい没頭できるようなりました」。これは教室に通い始めて6カ月ほどの小学1年生Aくんのお母さんの声です。以前からAくんの、何でもすぐ飽きてしまう点が気になっていたようで、目に見える変化を実感していらっしゃいました。

 将棋は次の一手を考えるために集中を繰り返すことから、集中力を育むゲームです。ある程度強くなってくると、「手を読む材料」が多くなるため、自然と長く集中できるようになるものですが、初心者はそうはいきません。一見考え込んでいるようでも、「手を読む材料」が乏しく、ただ悩んでいる(または困っている)だけで、集中しているとはいえません。ではどうやって集中へと導いていくのか? それは3分間の集中!です。例えば、詰将棋本を3分間計って「よーいどん!」と競争するとみんな必死でがんばります。集中力は長さより深さが大事。教室ではこうした練習を積み重ねていきます。

 先日、中村太地王座が「いつつ」が主催する子ども将棋教室に来てくださいました。中村王座は早稲田大学の卒業生で、NHK番組のコメンテーターを務めるなど、将棋界だけにはとどまらず幅広く活躍されている方です。ある保護者から「太地先生は勉強もよくできたんですよね」と質問されると、「いやいやいや」と謙遜をしながらも、「将棋で集中力がつくので勉強にもそういう部分はいかせていたと思います」と答えてくれました。もちろん学力は勉強しないと身につくものではありませんが、「将棋の集中力は勉強に生かせる」ということは皆さんに伝わったのではないでしょうか? (第9回・下につづく)

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【なかくらあきこ・たかのゆう】
★文/なかくら・あきこ★東京都出身。女流二段。株式会社いつつ代表取締役。6歳から将棋を始める。1991、92年の女流アマ名人で連続優勝を果たし、94年に高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。その後、NHK杯将棋トーナメントなどテレビ番組の司会を務めるなどメディアで幅広く活躍。2007年に公益社団法人日本女子プロ将棋協会へ移籍。15年3月に現役を引退し、同年10月に株式会社いつつを設立。将棋と知育・育児を結びつけるような活動を広く展開し、お母さん向けの講演なども行う。将棋入門教材「はじめての将棋手引帖」の制作や、絵本『しょうぎのくにのだいぼうけん』(講談社)も出版。

★絵/たかの・ゆう★北海道出身。育児漫画家・絵本作家。NHK教育テレビにて『土よう親じかん』(2008年4月~2009年3月)、『となりの子育て』(2009年4月~2011年3月)の司会を務め、子育て世代から支持が厚い。『よっつめの約束』(主婦の友社)など著書は約40冊に上り、台湾や韓国などでも翻訳本が発売されている。また、マンガを描きながら話をするという独自のスタイルで、育児をテーマにした講演会を全国で開催。2015年には、特定非営利活動法人日本マザーズ協会が主催する「第8回ベストマザー賞2015・文芸部門」を受賞。
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