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子どものこれから
将棋×子育てのイイ関係 女流棋士
中倉彰子
第3回 美しさへのこだわり(上)
一様にシーンと静まりかえり、自然と正座になる 
 これは、親子イベント「将棋の世界をのぞいてみよう」での一幕です。私は現在、「いつつ」という会社を立ち上げて、子どもたちへの普及活動をしています。年に数回各地でこのイベントを開催しているのですが、駒の動かし方から、将棋の歴史や道具にまつわる話、盤と駒を使ったパズルや簡単なゲームなどをします。このイベントのメインプログラムとなるのが「ホンモノ体験」。第74期名人戦の第3局で羽生善治さんと佐藤天彦さん(現名人)が実際に使用した将棋盤と駒で、対局のデモンストレーションを行い、所作・ふるまい・手つきなどを見てもらいます。
 和装した私が畳の上に座り、駒を並べ始めると、将棋盤を囲んでいる子どもたちみんなが、誰に言われるわけでもなく、静かに正座をして、真剣にその様子を見つめてくれます。対局独特の緊張感のある「空気」を感じとってくれるのでしょうか。子どもたちの感受性の強さには、毎回感動させられます。
 
美しい所作とふるまい
 将棋は駒を並べてスタートするゲームですが、並べる順番にも作法があります。まず、上位者が駒箱から駒を出して「王」を置き、次に下位者が「玉」を置いてから、互いに駒を並べはじめます。江戸時代に家元制度ができ、将軍の前で披露する際に作法として確立したのではないかと言われていて、並べ方にも大橋流と伊藤流があります。
 
 ほかにも、対局を始める前に「お願いします」と礼をする。気息を整えて初手を指す。対局が終了すると、「感想戦」といって対局者同士で反省会のようなことを行う(感想戦については別の回で詳しく説明します)。「形作り」といって、負けを悟ったときに接戦だったかのような美しい棋譜(対局の記録)を残して投了する、などなど。これらの作法は独特の習慣であり、ルールとして明文化はされていませんが、伝統的な世界なので「美しさ」を意識して行っています。これこそが、勝敗だけにとらわれることのない、将棋特有の美学だと思います。(第3回・下につづく)

【「株式会社いつつ」のホームページ】 http://www.i-tsu-tsu.co.jp/



    ☆育児漫画家・高野優さんのイラスト&つぶやきコーナー☆ その5








【高野優 公式サイト】http://www.k4.dion.ne.jp/~alamode/
【高野優 公式ブログ タカノアラモード】http://www.take.cside5.jp/alamode/blog/
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【なかくらあきこ・たかのゆう】
★文/なかくら・あきこ★東京都出身。女流二段。株式会社いつつ代表取締役。6歳から将棋を始める。1991、92年の女流アマ名人で連続優勝を果たし、94年に高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。その後、NHK杯将棋トーナメントなどテレビ番組の司会を務めるなどメディアで幅広く活躍。2007年に公益社団法人日本女子プロ将棋協会へ移籍。15年3月に現役を引退し、同年10月に株式会社いつつを設立。将棋と知育・育児を結びつけるような活動を広く展開し、お母さん向けの講演なども行う。将棋入門教材「はじめての将棋手引帖」の制作や、絵本『しょうぎのくにのだいぼうけん』(講談社)も出版。

★絵/たかの・ゆう★北海道出身。育児漫画家・絵本作家。NHK教育テレビにて『土よう親じかん』(2008年4月~2009年3月)、『となりの子育て』(2009年4月~2011年3月)の司会を務め、子育て世代から支持が厚い。『よっつめの約束』(主婦の友社)など著書は約40冊に上り、台湾や韓国などでも翻訳本が発売されている。また、マンガを描きながら話をするという独自のスタイルで、育児をテーマにした講演会を全国で開催。2015年には、特定非営利活動法人日本マザーズ協会が主催する「第8回ベストマザー賞2015・文芸部門」を受賞。
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