教え子たちを励ましたりアドバイスをしたり、さまざまな場面でカツを入れる先生たちにも、自分自身にカツを入れて頑張る場面があるはず。多彩な分野で活躍する現役の先生に、困難を乗り越えた思い出深いシーンや、人生の転機となったエピソードなどをインタビューします。連載の第9回にご登場いただくのは、ママフォトグラファーとして活躍中の今井しのぶ先生。妻として母として、そしてフォトグラファーとして幅広く活躍されている今井先生は、自分自身に対してどんな「カツ」をいれているのでしょう。迷ったときはワクワクする方向へ!

カメラを始めたのは7年前、次女が生まれたとき。2人目ということで子育てにも少し余裕が出て、何か趣味を持ちたいと思ったのがきっかけです。一眼レフカメラを購入して、本格的にカメラを学ぼうと本を読んで独学しました。もともとカメラは夫の趣味で、「君にはカメラのセンスがない」と言われていたんです。少しずつ勉強していくうちに、「できるようになってきたね」という反応に変わってきました。ずっと「センスがない」と言われ続けてきたので、それが認められるようになってくるとモチベーションもどんどん上がっていきましたね(笑)。
それから文部科学省後援のフォトマスター検定を受け、5年前にママ向けのフォトレッスン(カメラ教室)を自宅で開きました。子どもの記念日などの希望に合わせて、出張撮影もしています。「ちゃんと運営できているの?」と自宅でのレッスンに消極的だった夫ですが、問題点を改善していく私を見て、応援してくれるようになりました。生徒さんからの「ここいいよ!」という口コミで少しずつ受講希望者が増えていって。今では地元・神奈川はもちろん、埼玉や千葉、一番遠くて佐賀からも来てくれています。「ここに来ると元気をもらえる」という言葉を聞くと、ママたちのリフレッシュの場になっているんだ! やっていてよかったな、と思います。

今井先生がDIYしたという明るい自宅スタジオ
とはいえ生徒さんの質問に的確に答えられなかったり、出張撮影で「イメージしていた写真と違う」と言われてしまったときは、焦ったり、落ち込んだりしてしまいます。そんな
ピンチなときこそ、落ち込むよりも前向きに考える。考え方をちょっと変えるだけで、プラスの方向に進むことってありますよね。私のために言ってくれたのだから絶対に改善する。そして、さらに上に行こうと常に心がけています。
ある日、子どもに「大人になりたくない」と言われたんです。「なぜ?」と聞くと、大人はすぐに怒ったり、疲れたって言うから嫌なんだ、と。ところが、その後に出てきたのが「でもママは、にこにこルンルンだけどね」という言葉でした。
迷ったときはワクワクする方向へ! といつも考えているのですが、それが伝わっているのかな。「いつも怒ってばかりだね」「怖い」という言葉より、「にこにこルンルンだね」と言われるほうがうれしい。私にとって最高の褒め言葉です。

和やかな雰囲気で行われるレッスン風景
写真提供: 今井しのぶ先生
2015年に少人数制のママフォトグラファー養成講座を新たに開設。先日、3期生のママたちが卒業しました。講座修了後、ママフォトグラファーとして仕事ができるようなバックアップ体制を整えているところです。そして昨年は、名古屋で講座を開く機会に恵まれました。そこには、私のブログのファンという方も参加してくれたんですよ。「自宅スタジオには行けなかったけど、やっと先生に会うことができた」と言われ、とても励みになりました。これからは地方に行く機会を増やしたりと、活動の幅をもっと広げていけたら楽しいだろうなとワクワクしています。
カツナンバーAcousphere(アコースフィア)『家カフェ』
価格:1800円+税
販売元:Della(デラ)
フォトレッスンで流す音楽を探していたときに出会ったアルバム。ジャケットのかわいさに思わず買ってしまった。「音楽全体の空気感が好き」というこのアルバムは、5年間ずっとスタジオ内で流れ続けている。
カツめし炭酸水気持ちを切り替えるときにはコレ! お茶でもなく、ジュースでもなく、味がついていない炭酸水。「よし、やるぞ!」という気持ちになる。
カツアイテムぽれぽれ動物
ほのぼのとした風貌がかわいい木彫動物シリーズ。フォトレッスンに来る子どもたちに大人気。初代の動物たちは、子どもたちに舐められたり噛まれたりして色も変化。年輪のようないい味が出てきている。折れてしまった耳や刻まれた歯型も、子どもたちに愛されたという微笑ましい証。
カツ語「とりあえず、やってみる!」「迷ったときにはワクワクする方向へ進む」というのがポリシー。マイナ
スなことは考えず、プラスの方向に考え方を変えるようにしているという。
「とりあえず、やってみる!」という言葉に、ぐんぐん前に進む姿勢が表れる。
【今井しのぶオフィシャルサイト「こどもとかめら」のホームページアドレス】
http://kodomotocamera.com/取材を終えて 弾けるような笑顔で、豪快に笑う姿が印象的な今井先生。周りにいるみんなを元気にさせてしまう、天性の明るさを感じました。お子さんが今井先生を表現した「ママは、にこにこルンルン」という言葉がまさにピッタリ! いつも怒ってばかりと子どもに言われてしまう私は、同じ母として反省しっぱなしで、しっかりと「カツ!」を入れていただきました。ゆっくりと、そして着実に上を目指して進んでいくその姿は、生徒だけでなく、周りの人たちにも元気を与える、無意識の「カツ!」なのではないでしょうか。
※人物撮影:奥住 一
(構成:山本洋子、編集:清水涼子)
*この記事は、株式会社リビングくらしHOW研究所が運営するライター・エディター養成講座「LETS」アドバンスコース16期生の修了制作として、受講生が企画立案から構成、取材、撮影、編集、校正までを実践で学びながら取り組んだものです。
【ライター・エディター養成講座「LETS」のホームページアドレス】
http://seminar.kurashihow.co.jp/lets