第1回 山田裕美子 先生(マニモードネイルカレッジ学院長)
気合いを入れたり、困難に打ち勝つためのアドバイスをしたり、時に厳しく大声で励ましたり……。先生には、いろいろな場面で教え子たちに「活(カツ)を入れる」ことを求められています。でもそんな先生にも、これまでの人生の中で自分自身に活を入れる場面がきっとあったはず。そこで、「あのときは頑張った」「あの言葉に支えられた」などのエピソードを、さまざまな分野で熱血指導を続ける現役の先生に突撃インタビュー。アクティブに走り続ける先生たちの生き方や意外な一面に迫る新連載企画。第1回は2011ミス・ユニバース・ジャパン公式ネイリストで、ネイルスクールの学院長を務める山田裕美子先生です。倍は凡人。10倍やって一流!

ネイリストになり2年目で出場したコンテスト(現全日本ネイリスト選手権)で全国2位になったときのこと。うれしい気持ちで実家に帰り父に報告し、「次は1番を目指すために、明日から人の倍は練習する」と伝えました。
すると、「あー悔しかった。明日から倍練習しようと思う人間がほかに何人いると思う? 3倍、5倍練習しようってヤツがいたら、お前はまた2番しかとれないぞ」と言ったうえで
、「人の倍なんて考えは凡人の考え。人の10倍やろうと考えてこそ一流。そういう人しか1番にはなれない」とばっさり。衝撃のひとことでしたね。
以来、“人の10倍は練習する”という気持ちでネイル技術の向上に励んできましたが、それによって人生最大のピンチも乗り切ることができたと思っています。
そのピンチとは、生まれて初めて大きな仕事をしたときのことです。海外から超一流アーティストがコンサートのために来日した際、私に出張ネイルのチャンスが来たのです。英語が全く話せなかった私は、アシスタントと一緒にホテルへ向かいました。ところが部屋の前まで行くと、「(ネイルを)やるのは誰?」と関係者に聞かれ、アーティストが待つ部屋に突然一人放り込まれてしまったのです。
「・・・どうしよう!」。そのときは相当焦りましたね。「How are you?」とご本人が話しかけてくれましたが、もう頭が真っ白。「Fine, thank you」と答えるべきところを、出てきた言葉は「ハ・・・ハゥアーユゥ?」でした。伝説の「How are you 返し」です(笑)。とにかくそのときはそれくらい緊張しました。

写真提供:山田裕美子
でも、どんな状況でも高いパフォーマンスを発揮して結果を出すのがプロですよね。だから必死で気持ちを落ち着かせました。「自分を信じてやるしかない」「ビビッてる場合じゃない」「今までこんなに練習してきたのだから大丈夫。自信を持っていこう」。短時間で心を整えるのは大変でしたが、がむしゃらに練習を重ねてきたという事実が私を支えてくれ、無事にネイルを施すことができました。
現在は日本だけに留まらず、海外でもネイリストの養成に携わっていますが、指導者となってからも“人よりも多く練習する”ことを常に意識しています。あのとき父がくれたひとことが、今も私を奮い立たせてくれるのです。
カツナンバーB'zの『ultra soul』
価格:¥1,296(税込み)
販売元:株式会社ビーイング(Being, Inc.)
「その日、その場で、どう実力を出せるかは集中力がすべて」「短時間で気分が上がる、この曲が大好きです」と山田先生。大勝負に向かう途中、精神統一をするその姿はアスリートそのもの。
カツめし体調を整える食事「本番当日に集中力を高める」「撮影前に体を引き締める」。状況に応じて何を、どう食べるか調節する――その徹底した自己管理がプロの仕事を支えている。毎日1.5リットルは欠かさず飲む、こだわりの水が美の秘訣。
カツアイテム世界で一つだけの赤い靴
尊敬するネイリストの恩師からプレゼントされた真っ赤なハイヒール。ミス・ユニバース・ジャパンの公式ネイリストとして大舞台に立つ日も、これを履いて気分を盛り上げた。もともとは画家志望だったという山田先生自身が「ぺーパースタイリング」(紙を使ったスタイリング技法)を施した、世界でたった一足のデザイン。
カツ語倍は凡人。10倍やって一流!コンテストで全国2位を受賞した際、父親に言われた。
ガツン!と効きます。
【「マニモードネイルカレッジ」のホームページアドレス】
http://www.mainmode.jp/取材を終えて
生徒に指導をする山田先生
写真提供:山田裕美子
「2011ミス・ユニバース・ジャパン公式ネイリスト」という華やかな肩書どおり、インタビュー当日の先生はトップランナーらしいきりっとした緊張感あるオーラを放っていました。それでいて、気さくでサービス精神あふれるとても明るい方。ときおり取材陣を笑いの渦に巻き込みながらも自身の信念を熱く語るその姿は、しびれるほど格好よかったです。ストイックに努力を重ねる姿はもはやアスリート級。強く、美しい、プロフェッショナルとしての姿勢にふれ、同じ女性である自分に思わず「カツ!」を入れた一日でした。
(構成:田島由紀子、撮影:高石かおり)
※この記事は、株式会社リビングくらしHOW研究所が運営するライター・エディター養成講座「LETS」アドバンスコース15期生の修了制作として、受講生が企画立案から構成、取材、撮影、編集、校正までを実践で学びながら取り組んだものです。
【ライター・エディター養成講座「LETS」のホームページアドレス】
http://seminar.kurashihow.co.jp/lets