今回、ゆっくり滞在したリル・シュル・ラ・ソルグは、毎週日曜日にマルシェとブロカント市が開かれます。しかも、アンティーク・ヴィレッジという骨董屋が軒を連ねるエリアがあり、古いもの好きにはたまらない町。今回の旅の目的の一つは、絵のモチーフとして使えそうなものをアレコレ買うこと。そんなわけで、いざ、マルシェ&ブロカント市へ出発です。
朝、町を囲むように流れるソルグ川に沿って、白い屋根のテントが並びます。早めの時間に行ったので、まだ人通りもまばらで出店の準備ものんびりしています。まず目に入ったのは布屋さん。シックな色合いの繊細かつクラシカルな柄の麻布がそろっていて、その中から3つ選んでテーブルクロス用にカットしてもらいました。布はインテリアの雰囲気をガラッと変えてくれるので、使うのが楽しみ。ちょうど近くにあったかご屋さんで、大きなかごバッグを買い求め、先ほど購入したばかりの布たちをドサッと入れました。かごは軽いしたくさん入るし、本当に便利なアイテムですね。その後のお買いものにも大活躍です。帰国の際は、このかごを折りたたみの薄いトラベルバッグにスポッとはめ込み、お土産をぎゅうぎゅうに詰めて預け荷物にしました。かごのおかげでクシャクシャのナイロン素材のカバンでも形がしっかりするし、お買い物で増えた荷物も難なく持ち帰ることができました。
その後、ブロカント市は壊れものゾーンに突入します。花柄のお皿、花器として使えそうな器、クリスタルのコンポティエ(脚付きのお皿)、緑がかったブルー柄のソーシエール(ソース入れ)、シュガーポット、等々、気に入ったものに出会うたびに、かごバッグが埋まっていきます。18世紀創業の陶磁器ブランド「サルグミンヌ」のお皿が10枚セットで50€で出ていたときは、一瞬、数の多さにひるんだものの、持ち帰りを覚悟して購入しました。フランス人は、家に人を招く際は必ずカップルで招待するそうで、そろえる食器も基本的に偶数。もし一人を招待する場合は、ホスト側でその方と合いそうな方をもう一人招待するのだとか。実は10枚のお皿を買うとき、半分の5枚だったらいいのになぁ、と心の中で思ったのですが、それはフランスではあり得ない数なのですね。
今回買ったお品たちは、店主さんとやり取りしながらディスカウントしていただいたり、最初から破格のお安さだったり、それなりのお値段のままだったり、その場その場でいろいろでした。気になったものを手に取ると、店の人がそれについて説明してくれますし、逆に探しているもののイメージを伝えると、奥の箱から出してきてくれます。そういえば、旅の最終日に思いがけず別の町のブロカント市に遭遇し、バラを飾ったら似合いそうな水差しを見つけました。青い花柄がなんとも魅力的、、、なのですが、スーツケースはすでにパンパン。一度はあきらめて素通りしたものの、やっぱり気になって手に取ると、お値段も25€とお安い! よほど私が迷っているのが伝わったのか、店主さんが「20€にするから買いなさい」と後押ししてくれました。結局、壊れぬよう抱きかかえて飛行機に乗り、無事持ち帰りました。そんなストーリーを、我が家に並んだブロカントたちを見ながら思い出すのも、またよき時間なのです。
最初は空いていたマルシェも、気が付けばすごい人になっていました。いったいどこからこんなに人が? と思うくらい、驚きの人出です。いろいろ食材も買いたかったので、事前にチェックしていたお店を順々にまわります。オリーブ店では、グリーンとブラックの実をセレクト。オリーブの色で種類が違うのではなく、同じ木でも収穫する時期をずらすことで色が変わるのだそうです。ブラックオリーブはバジル風味の味付けを選んだのですが、すごくコクがあってまろやかでした。お野菜は、欲しいものをかごに入れると、それを量って金額を教えてくれます。チーズ屋さん、パン屋さん、果物屋さん、ソーセージ屋さん、瓶詰めのタプナードやオリーブオイルやヌガーのお店もあって、マルシェのお買い物は目が泳いで大変です。
お惣菜はマルシェではなく、町のお惣菜屋さんで気になるおかずやおつまみを買いました。とにかく種類が多く、野菜のマリネやらテリーヌやらラタトゥイユやらトマトファルシやら、プロヴァンスらしいお料理がずらりと並んでいます。見ているだけでよだれが出てきそう。注文は、指さして「このくらい」と言えばいいだけなのでとても簡単でした。ここで覚えておきたいのが「オンプープリュ(もう少し多く)」と「オンプーモワン(もう少し少なく)」。これで完璧です。ブロカントで買ったお皿に買ってきたものを盛り付けたら、エアビーの一軒家でも直ぐにホームパーティが出来そうですね。
下手の横好きでフランス語の勉強を細々と続けているのですが、多少なりとも言葉が理解できることで、より楽しくお買い物をすることができました。コンポティエを買ったお店では、マダムが「うちの前の店はコピー(模造品)を売っているから気を付けて。」とこっそり教えてくれたり、前を通るたびに新しい商品が出てくるお店で何度もお買い物をしているうちに、そこのご夫婦と仲良くなって、一緒に写真を撮ってもらったり。マルシェでは、日本に一度行ってみたいというお花屋さんのお兄さんと話をしているうちに、選んだお花のブーケにどんどんおまけの草花を加えていただきました。大したことではないのですが、旅人としては、こんなふうに現地の人と少し通じ合えた感覚がすごくうれしいのです。(つづく)
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