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美しいくらし
ニースっ子の南仏観光案内 マイ コートダジュール ツアーズ社長
ルモアンヌ・ステファニー
第10回 大好きな紺碧色のビーチ【ヴィルフランシュ・シュール・メール】
 “紺碧色の海岸”とも呼ばれるコート・ダ・ジュールにはすてきな港町がいくつもありますが、いちばんのおすすめを聞かれるとヴィルフランシュ・シュール・メールがすぐに頭の中に浮かびます。いつか住んでみたいと思うぐらい好きな町です。
 ニースから10キロメートルしか離れていなくて、モナコやエズ村に行く途中にあるので寄りやすいのも魅力。山に囲まれた入り江で、透き通っているエメラルドグリーンの海を見おろす写真スポットがいくつかあって、絵はがきになるぐらい美しい場所です。


 周りに崖があるおかげで風も波も少なく、大昔から住みやすいところとして人気が高く、古代からギリシャ人やローマ人が船を停めるために利用していた港でもあります。
 13世紀まで戦争や病気で住民が減少したため、再び人が住みたくなるように税金を廃止して、「税金のない町」を意味する「ヴィルフランシュ」という名前が付けられました。「シュール・メール」は「海の上」という意味で、ヴィルフランシュという名のフランスのほかの町と区別ができるように後で追加されました。

 18世紀まではニースの港として利用され、19世紀からロシア皇帝海軍によって重大な海軍基地として選ばれた後、2008年まではフランスの最も大きいクルーズ港でした(2009年からマルセイユが1位を獲得しています)。
 港が重要なだけでなく、ヴィルフランシュは気候もとてもよく、冬は暖かくて日差しが明るいため、19世紀にロシア人やイギリス人の貴族にとって理想的なリゾート地にもなりました。


 20世紀の始めからアーティストや作家の憧れの地にもなっています。映画『美女と野獣』でも有名なジャン・コクトーがヴィルフランシュの虜となり、1924年から10年間近く滞在。友達の別荘に泊まったり、海辺にある「Welcome Hotel」に部屋を借りたりしていました。彼がすぐそばのサン・ピエール礼拝堂を改装していた間は、「La Mere Germaine」 というレストランに通っていたそうです。現在、そこのブイヤベースがコート・ダ・ジュールのナンバーワンになっています。

 ヴィルフランシュはニースやエズ村と同じように1868年までイタリア領だったため、建物が黄色やオレンジ色でとても明るい雰囲気です。海岸沿いは日差しが強いですが、旧市街の細い路地に入ると日陰が気持ちよくて、ゆっくりウインドーショッピングをしたくなります。
 旧市街の中心にあるサン・ミッシェル教会あたりまで行けば、ドアの前にイスを出しておしゃべりをする住民や、サッカーで遊ぶ子どもたちがいたり、涼しいところでお昼寝する猫に出会えたりして、ゆっくりした生活感を味わえます。


 しかし、私にとってヴィルフランシュのいちばんの魅力は海。旧市街を散策すると目が離せないぐらい美しい景色がいろいろな場所から見えて、どうしても海辺に行きたくなります。
 旧市街から坂道を下って行くと10分ほどでビーチに到着。柔らかいカーブを描くビーチの目の前にはカラフルな旧市街がきれいに広がっていて、あらためて感動します。
入り江がとても深くて水が透き通っていて海藻や魚も多く、ダイビングやシュノーケリングスポットとしても知られています。グリーンやブルーのグラデーションが豊かで、ずっと海を眺めていられます。


 ここは地元の人にも大人気のビーチ。玉砂利でゴツゴツしたニースの海岸と違って砂浜なので歩きやすく、遠浅なので子どもも安心して遊べます。
 私たち家族は夏の夕方に行くのが好き。昼間は混んでいて、暑くて、日差しが強いので、簡単な夕食を用意して17時ごろに行く習慣があります。お弁当を忘れてもサンドイッチやサラダを販売するカフェもあるので便利。しかも共同のトイレとシャワーが無料で使えるのもうれしい! 17時を過ぎると気温が少しずつ下がり始め、人も少なくなって特別な雰囲気を味わえます。

 波ひとつない静かな海に入ったら、自分の足と周りに泳いでいる魚が見えるぐらいの透明度。目の前に広がる景色を楽しみながらの海水浴は、幸せな気分になります。真夏に日が暮れるは22時ちょっと前。遅くまでビーチで遊んで、太陽が旧市街の後ろに沈むのを見るのがとてもロマンチックなんです。


 でも、ヴィルフランシュの海は夏だけではありません。一年中いろんな楽しみ方がありますが、中でも寒中水泳ができるのはコート・ダ・ジュールの自慢。
 冬の朝にこのビーチに散歩に行くと、必ず同じおじさんとおばさんたちのグループがいます。仲間同士で待ち合わせした後、着替えながらにぎやかに会話をし、それから一緒に海に入って15分ぐらい元気よく泳ぐのです。泳ぎ終わった後はビーチに上がってまたゆっくりと着替えながら、べらべらしゃべったり、持ってきた温かいコーヒーやお酒( !)を仲間に配ったり、孫の写真を見せたり……。

 何回も同じメンバーを見かけていたのですが、ある日やっと声をかけることに。「Bonjour tout le monde !」「皆さん、おはよう ! ここによく散歩に来ますが、よくいらっしゃいますね。海が冷たそうですが、風邪をひかないんですか?」と聞いたら、「まあ、冷たいけど、毎日少しだけ泳いだら風邪をひかなくなったもん!」と、一人のおじさんが答えてくれました。
 朝の気温は10度ぐらいなのに水温が14度なので、水の中は気持ちいいのだそう。
 「若いときは忙しくて無理だったけど、定年してからの夢の一つだったんだ。パリの人に言ったら信じてくれないだろうね(笑)」

 確かにそのとおり! コート・ダ・ジュールは夏のイメージが強いですが、暖かい冬もおすすめです。健康で長生きができて、のんびりとした生活が送れるなんて幸せですよね。(つづく)

★ヴィルフランシュ・シュール・メールへのアクセス方法
ニースから各駅停車で10分、またはニースのヨットハーバーから路線バスで25分

【マイ コートダジュール ツアーズ】http://www.mycotedazurtours.com/
【mycotedazurtours Instagram】https://www.instagram.com/mycotedazurtours
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【Stephanie Lemoine】
1979年フランス・ニース生まれのニース育ち。高校で第3外国語として日本語を選択し、大学はパリにある国立東洋言語文化学院(Institut national des langues et civilisations orientales)で日本語と日本文学を専攻。大学時代の1年半、東京学芸大学への留学を経験する。ニースを拠点にした日本語ツアーや通訳、各種コーディネートなどを提供している「マイ コートダジュール ツアーズ」に、日本語ドライバーとして2008年から勤務し、10年に社長に就任。日本でのお気に入りの場所は宮島(広島県)と湘南(神奈川県)。大好きな鎌倉で老後を過ごすのが夢で、2人の息子たちには毎日欠かさず日本の話をしている。
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