
(写真提供:コウゴアヤコ)
ある年の7月、岩手県西磐井郡の平泉を旅しました。平泉は奥州藤原氏三代ゆかりの地。中尊寺を含む「平泉の文化遺産」は2011年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。中尊寺へと続く月見坂の参道は樹齢300年とも言われる巨大な杉に囲まれ静謐な雰囲気。境内には歴史ある寺院やお堂が点在し、山の清々しい空気とも相まって深い趣きが感じられます。なかでも金色堂は、金箔や螺鈿細工で装飾され息をのむ美しさでした。
その金色堂を記念したビールがあるってご存じでしょうか? それは、いわて蔵ビールの「金色堂 ゴールデンエール」。柑橘類のようなホップの華やかな香りが楽しめるビールです。

酒蔵ナイトツアーやビール工場見学が体験できる

敷地にはレストランやカフェ、博物館などが並ぶ
いわて蔵ビールは、大正7年創業の「世嬉の一(せきのいち)酒造」によるクラフトビールブランドで、酒造りの技と経験を生かしたビール造りが特徴です。
醸造所がある一関市までは、中尊寺から車で30分ほど。敷地内には洋風建築と日本古来の建築が融合したモダンな蔵が7つ。それらはクラフトビール醸造所や、レストラン、売店、酒の民俗博物館などに使用されていて、まるでお酒のテーマパークのよう。お酒好き、ビール好きにはたまらない空間です。実はここを訪れるのが旅の最大の目的なのかも……!?
「蔵元レストラン せきのいち」ではアイスバイン(豚のスネ肉香草焼き)や牡蠣のカナッペといった料理人自慢の一品や、郷土料理のもち膳などがいただけます。合わせるビールはもちろん、いわて蔵ビール。海外にも輸出されており、日本が世界に誇れるビールです。
ビールの味や蔵の雰囲気の素晴らしさもさることながら、私が心ひかれる理由は、蔵の四代目・佐藤航(さとうわたる)さんの“人助け精神”なんです。
例えば、ビールの副原料に一関産山椒や三陸牡蠣などの地元食材を使用することで、地域産業の活性化に貢献したり、東日本大震災時には、自社の蔵が倒壊する被害を受けながらも、炊き出しや寄付など地域の復興を支援したり。今回の新型コロナウイルスでも、複数のビール醸造所がコラボしたチャリティビール「ONE AND ONLY」
※の活動を展開するなど、さまざまな手段で人助けをしています。

佐藤航社長(写真左)と後藤孝紀工場長
このコロナ禍で私自身が感動したのは高濃度エタノールの販売です。薬局で消毒液が品薄だった時期に急遽、ビールを蒸留して消毒用のアルコール製剤の生産に踏み切りました。商品名は、疫病退散にご利益があるという妖怪「アマビエ」にちなんで「アマビエ65」。わが家では「これで疫病退散!」と言わんばかりに、まな板にシュッ、冷蔵庫にシュッ、と多用しています。金色堂を訪れる人の手の消毒にも使われているそうですよ。
自社の事業に留まらず、社会貢献にも精力的に取り組む「いわて蔵ビール」とそこで生まれた「金色堂 ゴールデンエール」。心から“エール”を送りたくなる醸造所&ビールです。
(写真提供:世嬉の一酒造株式会社)
…… ご当地ビールで旅気分 ……
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【商品名】金色堂 ゴールデンエール[原材料]大麦麦芽、ホップ [アルコール度数]5.0%麦芽の豊かな香りに、柑橘類のようなホップの上品な苦みが追随する、バランスの取れたビールです。
【味わいチャート】弱い☆1⇔強い☆5
甘味:☆☆☆
酸味:☆☆
苦味:☆☆☆
香り:☆☆☆☆
ボディ:☆☆☆
カラー:赤みを帯びた黄金色
■【醸造所】世嬉の一酒造株式会社岩手県一関市田村町5-42
[その他の銘柄]ヴァイツェン、レッドエール、東北復興支援ビール 福香、三陸牡蠣のスタウト、ジャパニーズスパイスエール山椒など
※クラフトビールを飲んで支援しよう!
「ONE AND ONLY」キャンペーンの詳細はコチラ★
【一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会】は
コチラ★コウゴさんの
「旅ールのススメ」は情報誌「ドイツニュースダイジェスト」で連載中!