「あっつーい!!」
季節はまだ6月の入口。同じオーヴェルニュ・ローヌ=アルプ地方とは思えないほど、照り返しのきつい太陽の日差しに、うちのワンコもヘタレ気味。
この日は夫と一緒に、結婚記念日のプレゼントとなるバラの苗を買いに遠出することとなり、以前から訪ねてみたかったアルデシュ県まで、足を延ばしてみました。その帰り、せっかくなのでフランスの最も美しい村であるバラジュックに立ち寄ることに。
バラジュックは人口500人に満たない小さな村。村に沿って豊かに流れるアルデシュ川にかかる橋と眼前に迫りくる崖が、とにかく圧巻なのです。
しかし、夫とワンコは暑さにダウンしてしまい、とうとう日陰で待機することに。私はというと、一人で嬉々としながら坂を下り、村の全景の撮影に向かいました。
川に面した村の美しさもさることながら、反対側には石造りの『Tour de la Reine Jeanne(レーヌ・ジャンヌ塔)』が村を見下ろしています。川辺には気の早い水着の人達で溢れていて、フランス人のヴァカンス好きを改めて感じました。
村の中は少し蜂蜜がかった石で覆われ、所々に咲く薔薇の花が村を飾ります。石と石の間のわずかな隙間を見つけてはツバメ達が巣を作り、子育てに大忙し。ちなみに、このバラジュック村では、ネアンデルタール人の骨が発掘されています。
フランスの中部一帯は、人類の祖先を紐解く重要な場所でもあり、北上すると教科書でも習ったことのあるラスコー洞窟を始めとした様々な歴史的文化遺産があります。
ネアンデルタール人は約5万年前、アイベックスというアルプスに生息する立派な角を持つヤギの一種の狩りのため、この地まで追いかけてきたといわれます。
そういえば、ある職人さんのお店兼アトリエで、ナイフの柄の部分の装飾に使うために所有されていたマンモスの牙を触らせてもらったことがあります。旅をしているといつも面白いものに出合いがあり、それが旅をやめられない理由かもしれません。
「あと、どれくらいあるの?」。来た道を戻る私に、幾人かの旅行者が声をかけてきます。
「20分くらいですよ」。答えを聞いて、なぜか皆さん一様に安堵した顔になりました。
「今日はいい天気だね」。少し話をした後、別れ際に「Bonne journée !(よい一日を)」とお決まりの挨拶を交わすと、急いで待ち合わせ場所に戻りました。
すると、私の顔を見て夫が大笑い。車に戻り顔を見ると、暑さと日焼けで真っ赤になっていました。「多分君の顔を見て、みんな心配になったんだよ」。どうやら、声をかけてきた皆さんは、私の顔を見てどんなに大変なんだろうと心配になったんでしょうね!
村の近くには、色が変わる前の美しいブドウの実が青々と輝いていました。(おわり)
☆ソムリエおすすめ! バラジュックの小さなワイン☆

フォンテーヌ・デュ・ルール
ドメーヌ(生産者):ドメーヌ・ド・ペコラ サンソー50% グルナッシュ30% シラー20%のブレンドした、料理を選ばず楽しめるロゼです。

ロゼ・シラー
ドメーヌ(生産者):ドメーヌ・ド・ペコラ シラー100%による重厚感のあるボディは、従来のロゼのイメージを覆すほど。ワイン好きに喜ばれる1本です。
◆バラジュックの小さなワインの詳細は?
ソムリエ・堀澤和弘さんの「ワインコラム」はコチラ⇒協力:株式会社グラムスリー「moulla(ムーラ)」
http://www.moulla.jp/ ――全4回にわたってお届けしてきた、木蓮さんの「フランスの美しい田舎と小さな村ワイン」の連載も、今回で最終回となりました。小さな村で造られた個性豊かなワインを販売している「moulla」ソムリエ・堀澤和弘さんによる、おすすめワインとのコラボをお楽しみいただけましたでしょうか? 村々の美しい景色やそこで暮らす人々の営みに思いを馳せつつワインを口に含めば、その味わいはさらに豊かなものになるはずです。またいつの機会か、フランスの美しい村とそこで育まれたワインをお二人にご紹介いただけることを願っています。(編集部)★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/
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WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
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