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きれいをつくる
白熱! 個性論 石坂産業株式会社 代表取締役社長
石坂典子
第2回【組織編】石坂典子さん(石坂産業株式会社 代表取締役社長) ~第2話~個を認める

「石坂KIZUNA塾」は社長の講演や宿泊を伴う出張などに
社員が同行する社外研修。信頼を深める場になっている
(写真提供: 石坂典子さん)
 経営者の中には、組織体系の枠組みに社員をはめてしまう人がいますが、私はそういった考えを一切やめています。社員教育の基本精神は「個を認める」こと。得意なことや強みがあればそれを生かせるように、それぞれの能力や適性に合わせた組織づくりを進めています。

■個を知る取り組み
 「個を認める」といっても、社長が一人ひとりの顔を見て会話する時間はきわめて少ないのが実情です。限られた時間をどう工夫してコミュニケーションの時間にあてるか。その問題を解決する取り組みとして生まれたのが「石坂KIZUNA塾」です。
 社長の出張や講演会に社員が同行するというもので、社員のアイデアから実現しました。移動や会食の時間を利用して1対1でしっかり話ができるため、社員と社長が向き合える貴重な研修になっています。ほかにも、誕生日会や同期会、新人コミュニケーション会を会社行事として用意。ざっくばらんな会話から要望や本音、悩みなどのリアルな声が聞かれ、現場を知るうえで重要です。

■得意なことに注目

くぬぎの森環境塾では、再生を手掛けた里山の豊かな自然を活用し、さまざまな環境学習支援講座を行っている
(写真提供: 石坂典子さん)
 では、能力や適性に合わせた組織づくりとは、具体的にどのようなことを行っているのかというと、最近の例では、内部監査室という部署の新設です。ある社員は、膨大なデータから問題を指摘する能力には長けているのですが、それを人に伝えたり、改善を指導したりするのが苦手なタイプでした。せっかく問題点が明らかになっているのに、それをフィードバックできないのは会社の利益にはなりません。
 そこで、不得意な部分を仕組み化することで対処したのです。つまり、得意なチェック機能は今までどおり彼に任せて、苦手な指導については内部監査室という組織業務に移行します。そうすることで、問題点の指摘から改善までがスムーズに運ぶようになりました。
 ほかにも、お客様案内を担当する社員には、学生時代に取得した栄養士資格を生かして、社員弁当の栄養管理をしてもらったり、燻製づくりが趣味の社員には、当社の里山で開催するワークショップで講師を任せてみたり。とにかく、長所を伸ばし成長できよう仕向けてあげること。期待されるとやる気が出るし、選択肢が広がればその人の可能性も広がる。個を生かすことは、会社の底上げにつながるのです。

【今日のまとめ】
個を生かすことが組織の底上げになる!


―一人ひとりに合わせた組織づくりを行う一方で、会社は社員全員が同じ方向に向くことも必要です。プロジェクトを進めていく中で、組織の一員に求めるものとは? 第3回は組織力について伺います。

【石原産業株式会社ホームページ】http://ishizaka-group.co.jp/

(構成:狭間由恵)
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【いしざか・のりこ】
1972年東京都生まれ。高校卒業時にアメリカの大学に短期語学留学。渡米1年後に帰国し、父が創業した石坂産業株式会社(埼玉県入間郡三芳町)に20歳で入社。同社は1999年に埼玉県所沢市周辺で起った農産物のダイオキシン汚染報道を機に、地元住民の激しい批判にさらされることになる。2002年に父の後を継ぎ2代目社長に就任した後は、焼却事業から全天候型独立総合プラントの産業廃棄物中間処理事業に移行する大改革に奔走。地元の里山の保全・再生事業や、里山の自然で学ぶ環境学習支援講座の開講、工場見学、地域イベントと、地域交流や地域貢献を視野に入れた新事業も展開する。2013年に経済産業省の「おもてなし経営企業選」を、2014年には国際認証規格のISO 7種統合マネジメントシステム認証を受ける。著書は『絶体絶命でも世界一愛される会社に変える!―2代目女性社長の号泣戦記』『五感経営 産廃会社の娘、逆転を語る』など。講演活動、雑誌やテレビなどメディア出演も多数。
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