第1回【親子編】高野優さん(育児漫画家) ~第3話~わが子が教えてくれたこと

イラストを描きながら講演するスタイルは高野さんのオリジナル
(写真提供: 高野優さん)
次女は幼児期に運動や言葉の発達をサポートする支援センターに通っていたこともあり、同学年の中でもマイペースぶりが目立つ存在でした。
物怖じして私の陰にすぐ隠れてしまうし、主張しないから誤解されることも多く、何かあるごとに親の私がドキドキ。「この子の長所はいったいなんだろう」と落ち込んだこともありました。
そんなとき、私に新しい見方を示してくださったのが、次女が通っていた保育園の先生でした。「発達の遅さも内向的な面も個性です」。先生の言葉をきっかけに、すべてをマイナスに捉えるのではなく、“この子らしさ”だと素直に受け入れるようにしたのです。
“外交的・社交的な子は○、内向的な子は×”という図式は親たちが勝手に描いていただけ。親の後ろに隠れながら慎重に周りを見ているのかもしれないし、思慮深いタイプなのかもしれません。
「事実は一つ、見方は二つ」。親の考え方・捉え方をシフトチェンジするだけで、わが子に対する見方が大きく変わります。■子どもが持っている力
『高野優の育児の学習』
高野 優 著
電子書籍: 926円
発行元:学研プラス
「おとなしい子」とか「気が強い子」とか、成長途中のある一面だけを切り取って、それをその子のタイプだと決めつけてしまうのには意味がありません。もしかしたら、子どもは親が思っている以上にタフで、意外な個性や可能性を秘めているのかも。保育園で2年間も毎朝泣き続けた泣き虫が、中学生になると目立つことが生きがいのリーダー的存在になる(三女の実話)。なんて例も珍しくはないのです。
どの子どもも特別な箱を持っていて、5年後10年後にそれがポンって開いて変身するときが必ずやってくる。子どもの力を信じて、長い目で見てあげることが大事です。【今日のまとめ】いつか花開くその子のオリジナルを信じて、長い目で見てあげる!
イラスト提供: 高野優さん
―取材を終えて
『吾輩ハ母デアル』
高野 優 著
電子書籍: 926円
発行元:学研プラス
家族のエピソードを交えながらユーモアたっぷりに話してくれた経験談やアドバイスは、子育てに奮闘するお母さんたちへの応援メッセージ。「子どもの悩みなんていつかは晴れる!」。そんな明るい気持ちにさせてくれます。
言葉の一つひとつが胸にすとんと落ちるのも、高野さん自身が迷い悩みながら子育てに向き合ってきた母親だから。取材後はまるで同志に出会えたような気分。思いを共感し合えた心地よい感覚に包まれました。
さて、「個性の正体とは?」を無謀にも探ろうとした新連載「白熱! 個性論」。難しいテーマへの挑戦となりましたが、今回、高野さんを取材する中で見えてきたことの一つに、「個性の尊重」があります。わが子を人と比べたり、わが子に理想を求めたりするのは親の一方的な価値観。高野さんの娘さんたち(第2話)や保育園の先生(第3話)のように、まずは“相手を受け入れて認める”ことが「個性を尊重する」につながり、「個」を重視した教育も子育てもそこからスタートするのではないか? と気づかされました。次回は、まだまだ奥が深い「個性」を違う角度からアプローチします!
【高野優 公式ブログ「釣りとJAZZと着物があれば」】https://ameblo.jp/youtakano2018/(構成:狭間由恵)