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子どものこれから
勘違い個性論 NPO法人ソフトボール・ドリーム理事長
宇津木妙子
最終回 「個性」の勘違い

個性を生かすのは自分自身


一人ひとりの臨む姿勢が強いチームをつくる

 「自分がこのチームにできることは何か」をきちんと理解して、やるべきことをとことん強化する。これが強いチームになるための鉄則です。そのうえで、試合中ここぞという出番で勝利に貢献できるプレーができれば、そのチームは間違いなく結果を出せるでしょう。
 なにもチームの全員が三拍子そろう必要はありません。本番では、個々の強みを使い分けながら戦うことができるからです。自分を生かしながら、求められる何通りもの役回りをこなせるかどうか。そのために徹底的に練習する意欲があるかどうか。一人ひとりの臨む姿勢で強いチームがつくられます。

 それから、チーム戦で忘れてはいけないのが、犠牲心です。どんなに打ちたくても監督からバントのサインが出たらバントをしなくてはならないように、勝つためにどうしても我慢しなければならないシーンがきっと訪れます。そのときはチームのために個性を犠牲にする心構えも必要なのです。

与えられた使命を全力でやりきる
 勝負の世界だと勝つことが最終目標になっていますが、学校や会社では全員が同じ目標を定めるのは難しいかもしれません。でも、夢なら持つことができます。たとえかなえられなくても夢に向かって努力すること。そうすれば、持ち場持ち場で自分に与えられた使命を全力でやりきることに意義を見いだせるのではないでしょうか? 努力した成果は必ず自分に返ってきます。決して無駄にはなりません。

個性は“自分教育”で磨かれ育まれる

写真提供:宇津木妙子さん
 “個性”とは、目立つことや人と違った行動をすることだったり、「こんな経験をしてきました」っていうキャリアでもありません。さみしがり屋であったり、人前で強がってみたりの素の部分や、自分の持ち味。これが“個性”なのです。
 周りの人が個性を引き出してくれることもあります。でもそれをどう生かすかは結局、自分自身の問題です。人の話に聞く耳を持って、「自分はこういう人間なんだ」と素直に受け入れる。そして、多彩な個性からよいものを吸収して自らを高める。こうした“自分教育”で個性を磨いてこそ、それぞれの持ち場で個性を発揮できるのです。
 個性を生かせるグランウドは個人プレーではなく、チームプレーであることを忘れてはいけません。

【取材を終えて】
 「最後は自分なんだよ」。宇津木さんの、自分を持ったぶれない生き方にしびれたのは今回で2回目。最初は、今年2月の『先生たちのちょいカツ!』の取材のときでした。決して順風満帆ではないソフトボール道を、努力に努力を重ねて突き進んできたその人生は、教訓ともいえる学びや教えが詰まっていて、「またぜひお聞きしたい」という気持ちにかき立てられたのです。そうやって実現したのが、今回の企画テーマになった「個性」について。多くの出会いや経験を通じて自身も鍛錬を積み、強いチームづくりのために個性の生かし方を探究してきた宇津木さん。生まれ持った鋭い感性と、どんな困難な境遇でも「考え抜く」「やり抜く」ことで乗り越えてきた強い精神力はホンモノ! 宇津木さんが貫く生き方の美学を今回もリアルに感じました。

【宇津木妙子オフィシャルブログ「心」】
http://utsugitaeko.aspota.jp/

【先生たちのちょいカツ!】
 宇津木妙子さんが自らに入れるカツとは?
http://www.tokaiedu.co.jp/kamome/contents.php?i=332

(構成:狭間由恵)
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【うつぎ・たえこ】
1953年埼玉県生まれ。ユニチカ垂井で選手として14年間プレーした後、日立高崎女子ソフトボール部(現・ビックカメラ女子ソフトボール高崎)の監督に就任し、数多くの優勝に導く。1997年から日本代表監督を務め、2000年のシドニー五輪で銀メダル、2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得。2005年に日本人初の世界ソフトボール連盟の殿堂入りを果たす。現在、NPO法人ソフトボール・ドリーム理事長、東京国際大学の特命教授・女子ソフトボール総監督、ビックカメラ女子ソフトボール高崎シニアアドバイザー、世界野球ソフトボール連盟理事を兼務しながら、普及活動などに務める。著書は『ソフトボール眼』『宇津木魂 女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか』など多数。
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