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子どものこれから
勘違い個性論 NPO法人ソフトボール・ドリーム理事長
宇津木妙子
第1回 自分を知る
 今、学校では“個性を生かす”教育が叫ばれています。職場やスポーツなどの人材育成の場でも、個の力を伸ばすサポートが求められるなど、個性を尊重した指導が重視されています。しかし、一人ひとり違う個性をどうやったら十分に生かすことができるのでしょうか? 
 そこで、今回は“個性”をテーマに、女子ソフトボール元日本代表監督の宇津木妙子さんに話を聞きました。高みを目指し最強のチームづくりに邁進してきた宇津木さんは、2000年シドニー五輪、2004年アテネ五輪と代表チームをメダル獲得に導いた実績の持ち主。最近ではソフトボール普及活動の一環として子どもたちの指導に力を入れるなど、指導者の視点からさまざまな個性を近くで見てきました。そんな宇津木さんにこれまでの豊富な人生経験を交えながら、自身の“個性観”を全5回にわたって語ってもらいます。


自分らしさを自分自身がよく知る


自分の強みを生かす

 私は5人きょうだいの末っ子で、とりえといえば村一番の足の速さ。いつも元気いっぱいで運動なら誰にも負けない自信がありました。でも、学校の成績がよかった兄や姉とは対照的に、私は勉強があまり得意ではないタイプ。母親としたらそんなわが子に納得がいかなかったのでしょうね。私に対して「恥ずかしい」と発言。そのことが悔しくて、母を「いつか見返したい」と思うようになりました。

 私がソフトボールに出合ったのは中学生のとき。新入生の部活動見学がきっかけでした。たまたま立ち寄ったソフトボール部で、顧問の先生から「おまえの一番は何だ?」と聞かれたのです。「足が速い、元気がある。じゃあ、それらをソフトボールでアピールしたらいいじゃないか。おまえの一番をソフトボールで探せ」。先生からそんなアドバイスをもらって、私のモヤモヤした悩みは一気に吹っ切れました。「ソフトボールで自分の強みを生かしたらいいんだ」。私は入部を決意しました。

自分の持ち味が自信に

写真提供:宇津木妙子さん
 実は、私のソフトボール人生の原点には、母が私に言ったあの「恥ずかしい」のひとことがあります。同じ親から生まれたきょうだいでも一人ひとり違う。そのことを母にわかってほしくて、私という存在をどうしたら認めてもらえるのか? を模索しました。「私はなんで人とこんなに差があるのかな?」「どうして私にはできないのだろう……」。自分を他人と置き換えて考えたり、自分と向き合ったりと、自己分析を繰り返すうちに私らしさを発見。「よいところを生かしながら自分をもっと成長できたら」という前向きな気持ちにもなれたのです。

―自分を知ることで視野が広がったという宇津木さん。中学からスタートしたソフトボール人生は高校生、社会人へと続きます。第2回は、自分を取り巻く個性に刺激を受けた多感な時代を振り返ります。

(構成:狭間由恵)

【宇津木妙子オフィシャルブログ「心」】
http://utsugitaeko.aspota.jp/

【先生たちのちょいカツ!】
 宇津木妙子さんが自らに入れるカツとは?
http://www.tokaiedu.co.jp/kamome/contents.php?i=332

(構成:狭間由恵)
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【うつぎ・たえこ】
1953年埼玉県生まれ。ユニチカ垂井で選手として14年間プレーした後、日立高崎女子ソフトボール部(現・ビックカメラ女子ソフトボール高崎)の監督に就任し、数多くの優勝に導く。1997年から日本代表監督を務め、2000年のシドニー五輪で銀メダル、2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得。2005年に日本人初の世界ソフトボール連盟の殿堂入りを果たす。現在、NPO法人ソフトボール・ドリーム理事長、東京国際大学の特命教授・女子ソフトボール総監督、ビックカメラ女子ソフトボール高崎シニアアドバイザー、世界野球ソフトボール連盟理事を兼務しながら、普及活動などに務める。著書は『ソフトボール眼』『宇津木魂 女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか』など多数。
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