寺田直子さんとフランス観光開発機構の在日代表フレデリック・マゼンクさんとの対談の最終回は、初めて「フランスの最も美しい村」を訪ねる日本人に向けてのアドバイスから。―― 5週間から2カ月の間も休暇がとれるフランス人とは異なり、せいぜい1週間程度の休みをいかに有効に過ごすかに心を砕く日本人。そんな私たちでも「フランスの美しい村」を堪能できるコツとは?
寺田 「美しい村」を訪ねるとき、最も悩むのがアクセスの方法です。バスや電車などの公共交通機関はあったとしても本数が少なく限定的。特にシーズン以外はぐっと減ってしまいます。いくつかの村をめぐるには、やはりレンタカーがベスト。でも、日本人は現地でレンタカーを借りることにすごく抵抗があるんですよ。日本と違って右側通行で左ハンドルだし、加えてフランスのレンタカーにはマニュアル車が多い。私も大変な思いをしました(笑)。

コート・ダジュールの村、
トゥレット・シュル・ルー
マゼンク わかりますよ。日本人観光客からよく聞くのは、国際免許証は持っているのでオートマチック車が欲しいという声です。レンタカーは何社かの価格を比べられるサイトもあるし、フランス国鉄のチケットを買うと「レール&ドライブ」のような格安プランもあります。やはり割安なのはマニュアル車。そうしたサイトでの予約に慣れたり、現地でマニュアル車を運転できるように自分自身をスキルアップさせるのもまた、旅の楽しみのひとつだと思います。一方で、バスの便や車をチャーターできる現地の旅行会社を増やす必要がありますね。日本語で案内する現地ツアーも、コート・ダジュールのように人気のあるエリアならともかく、他の地方はまだまだこれからです。世界中から訪れる観光客の中で日本人のお客さんの割合があるレベルを超えれば、現地も日本人向けのアレンジに真剣に取り組むと思います。
―― 次回は「最終回 「ゆっくりのんびり」が秘訣(後編)」をお届けします。(構成:白田敦子)
【てらだなおこ×ふれでりっく・まぜんく】
【寺田直子】
トラベル・ジャーナリスト。東京都生まれ。日本とオーストラリア・シドニーの旅行会社勤務後、編集プロダクションを経てフリーランスとして独立。これまでに60カ国以上を訪れ、年間150日は国内外のホテルに宿泊している。著書に『ホテルブランド物語』(角川oneテーマ21)、『泣くために旅に出よう』(実業之日本社)などがある。
【フレデリック・マゼンク】
フランス観光開発機構 在日代表。フランス、ミディー・ピレネー地方ミヨー生まれ。パリ政治学院卒。2000年~2006年フランス政府観光局(当時)日本事務所、2006年~2015年フランス観光開発機構中国事務所勤務を経て、現職。アジア・太平洋・中近東地区統括責任者も兼任している。