寺田直子さんとフランスの観光政策を担うフランス観光開発機構の在日代表フレデリック・マゼンクさんに、「美しい村」のとっておきの楽しみ方などについてうかがいます。
ホタテ貝を意味する
「コンク」の土産物
―― 本書では歴史ある村の成り立ちや絶景のほかにも、土地のグルメやワイン、村を愛してやまない住人たちとの出会いが臨場感たっぷりに紹介されています。
寺田 「フランスの最も美しい村」協会に加盟している村は、どこもそれぞれに歴史や文化があります。本書で紹介しているのは、それらを象徴している30の村々。私が訪ねたとき、住人たちは実に自然体で迎えてくれました。日本だとお土産屋さんがバーッと立ち並び、「どうぞいらっしゃい」となりますが、そういうことはありませんでしたね。例えばサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道の村のひとつ、コンクの場合、巡礼者のための宿やレストランなど、最低限必要なものはそろっていましたが、それらはいずれも昔からあったもののようです。

マゼンク 歴史が長い巡礼路ですから見どころも多い。本来の目的である宗教的な意味合いを持って歩く人も多いのですが、ハイキング感覚で楽しむ人も増えています。フランスでは今、わざわざ回り道をして途中の景色などを楽しみながら目的地に到達する「フランスの美しい回り道(Les Plus beaux-d�・tour de France)」という旅を楽しむ人も増えているんですよ。また、観光客向けのルートをブドウ畑の中に整備したり、観光客の受入れに積極的なワイナリーを多く擁するワイン産地に与えられる「ブドウ畑と観光(Vignobles & D�・couvertes)」という認定制度もあります。

フランスの美しい回り道」のマーク

「ブドウ畑と観光」のマーク
―― 次回は「第3回 村をめぐって見えてくるもの(後編)」をお届けします。(構成:白田敦子)
【てらだなおこ×ふれでりっく・まぜんく】
【寺田直子】
トラベル・ジャーナリスト。東京都生まれ。日本とオーストラリア・シドニーの旅行会社勤務後、編集プロダクションを経てフリーランスとして独立。これまでに60カ国以上を訪れ、年間150日は国内外のホテルに宿泊している。著書に『ホテルブランド物語』(角川oneテーマ21)、『泣くために旅に出よう』(実業之日本社)などがある。
【フレデリック・マゼンク】
フランス観光開発機構 在日代表。フランス、ミディー・ピレネー地方ミヨー生まれ。パリ政治学院卒。2000年~2006年フランス政府観光局(当時)日本事務所、2006年~2015年フランス観光開発機構中国事務所勤務を経て、現職。アジア・太平洋・中近東地区統括責任者も兼任している。