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美しいくらし
フランスの小さな村を旅する 写真と文
木蓮
第3回 夢色の光をまとった童話の世界【コルマール】

 私がフランスに住んで3年目の冬。たまたまテレビに映し出されたマルシェ・ド・ノエルの美しさに目をキラキラ輝かせていると、横から夫が「そういえば、どうしてアルザスに行かないの?」と不思議そうに聞いてきました。
 「行ってきていいの?」。もちろん、すぐに聞き返し、その日の夜には電車のチケットを買っていました。

 フランスの小さな村や街は、駅から少し離れた場所にメインの観光地である旧市街があったりしますが、コルマールの魅力的な中心部までは駅から徒歩約20分。初めて訪れるアルザスの華やかなノエルを楽しみにしていた私は、駅を降りた瞬間の殺風景な景色に一瞬ドッキリ。
 しかし、街が近づくにつれ、心地よく流れる陽気な音楽と人々の楽しそうな声が聞こえてきました。誘われるまま街の中心部に入っていくと、「なんて可愛い街なんだろう!」。思わず感嘆の声が漏れ出します。

 カラフルなコロンバージュ(木骨造)の家、移動遊園地に興じる子どもたち、耳が痛くなるほどの冷え切った空気に湯気をくゆらせながら飲むヴァン・ショー(ホットワイン)。どの建物にも趣向を凝らしたノエルの飾りつけが施されています。ロシュ川沿いに連なる屋台でアルザス名物であるタルトフランベやプレッツェルをつまみ、夢色の光をまとったような人々の笑顔を楽しみながら、冬の夜を楽しみました。


 もちろん、マルシェ・ド・ノエルの時期でなくても、童話の世界から飛び出たような可愛らしさは変わりません。おすすめは、小舟でのゆっくり川下り。のんきに花に囲まれた景色を眺めていると、船頭さんが家の壁を指し「あそこはもともとトイレだったんですよ。効率がいいでしょ!」と説明が始まり、みんなで顔を見合わせ苦笑い。橋の下に来た瞬間、「みんな頭を下げて!」と再び大きな声が飛び、大人も子どもも一緒になって頭を抱えたのも、大変楽しかった思い出です。

 また、この街にはパリ以外の地域で年間の来訪者が第2位のウンターリンデン美術館があります。2015年12月にリニューアル・オープンしたこちらの美術館は、旧ドミニコ派の修道院を改装して造られた歴史的建造物で、ドイツ人画家グリューネヴァルトの傑作である『イーゼンハイムの祭壇画』が有名です。回廊からチャペルの中に足を踏み入れると……圧巻! のひとこと。上階にある視聴覚室から下を眺めると、二度この名画を楽しむことができます。

 そうそう、コルマールを訪れたなら車で約20分のニーデルモルシュヴィル村にある「ジャムの妖精」として有名な「Maison Ferber」を訪れるのも忘れずに! 初めてアルザス地方の小さな村を訪れるなら、コルマールに拠点を置いて巡るのがいちばん効率よくおすすめです。(つづく)


★ParisからColmarへの行き方
PARIS Est駅からTGVでColmar駅まで約2時間30分~3時間(直通あり)。

★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

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【もくれん】
フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュ地方の人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。いきなり2人のフランス人娘の母親になり悪戦苦闘だったが、生来の自由気ままな性格と、さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、「フランスの小さな村宣伝大使」を自負し、訪ねた村々をブログで紹介している。花にあふれる美しい村の魅力を伝えるブログは、日本でも多くのファンがいる。
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