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子どものこれから
将棋×子育てのイイ関係 女流棋士
中倉彰子
第6回 日本人としてのアイデンティティー(下)
匠の技ここにあり!
 日本は「木の文化」といわれるように、将棋の道具にも木が使われています。以前、経済産業大臣指定伝統的工芸品天童将棋駒の伝統工芸士である「掬水(きくすい)」さんにこんな話をうかがいました。

 「日本には昔から飴色と呼ばれる色があります。これは白木の道具が使い込まれることで生まれる色合いのことで、私は飴色に変化している駒を見ると、『駒が大切に使われているなぁ』ととてもうれしくなります。将棋の駒は、乾かす期間も含めて出来上がるまでに20年前後の歳月が必要ですが、時間をかけてつくった駒は、10年20年、それ以上に長く使うことができます。飴色は長年愛用されていることの証。飴色になった駒を見るたびに、つくってよかったと実感します」

 将棋といういわば遊びの道具を、工芸品にまで高めていったのはこうした職人さんの熟練した技があったからなんですね。私たちは将棋を通して、木の温もりや一つひとつ違う表情、道具に込められた職人さんの思いを肌で感じることができるのです。

参勤交代が将棋普及に貢献!?
 突然ですが、将棋のルールが全国共通なのは参勤交代のおかげだといわれています。参勤交代とは、江戸時代に制定された大名統制の一つで、諸大名が原則1年交代で領地を離れ、一定期間を江戸で過ごす制度のこと。昔、社会の授業で習いましたよね。当時は、大名に同行して江戸詰めとなった武士の中に、大橋家(将棋御三家の一つ)など家元が開いた将棋道場に通う人が多くいたようです。江戸で何かを学べば、故郷に帰ったときに周りに教えたくなるもので、全国各地で武士から町人へと将棋が伝えられました。今でも多くの遊びにはローカルルールが存在しますが、将棋は参勤交代によって早い段階でルールが統一されたと考えられており、このことが現在の将棋人気の礎を築いたといっても過言ではありません。

イラスト:高野優


 このように将棋は、習慣や考え方など日本の文化を反映したゲームであること、職人さんたちの熟練した技や熱い思いに支えられていること、「参勤交代」のように歴史とかかわっていることなど、日本の文化・伝統・歴史が深く根づいているものなのです。普段ゲームとして遊んでいると気づかないことばかりですが、将棋にまつわるさまざまな側面にふれることで、子どもたちが「日本らしさ」への興味関心を育むきっかけになるのではないでしょうか? 
 確実に国際化が進んでいく中、子どもたちには将来、日本人であるというアイデンティティーを持ちながら、日本の良さを自分たちの言葉で伝えいってほしい。そのためにも日本の伝統文化である将棋を子育てに取り入れることは価値のあることだと思います。


【「株式会社いつつ」のホームページ】 http://www.i-tsu-tsu.co.jp/

【高野優 公式ブログ「釣りとJAZZと着物があれば」】https://ameblo.jp/youtakano2018/
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【文・なかくらあきこ、絵・たかのゆう】
★なかくら・あきこ★東京都出身。女流二段。株式会社いつつ代表取締役。6歳から将棋を始める。1991、92年の女流アマ名人で連続優勝を果たし、94年に高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。その後、NHK杯将棋トーナメントなどテレビ番組の司会を務めるなどメディアで幅広く活躍。2007年に公益社団法人日本女子プロ将棋協会へ移籍。15年3月に現役を引退し、同年10月に株式会社いつつを設立。将棋と知育・育児を結びつけるような活動を広く展開し、お母さん向けの講演なども行う。将棋入門教材「はじめての将棋手引帖」の制作や、絵本『しょうぎのくにのだいぼうけん』(講談社)も出版。

★たかの・ゆう★北海道出身。育児漫画家・絵本作家。NHK教育テレビにて『土よう親じかん』(2008年4月~2009年3月)、『となりの子育て』(2009年4月~2011年3月)の司会を務め、子育て世代から支持が厚い。『よっつめの約束』(主婦の友社)など著書は約40冊に上り、台湾や韓国などでも翻訳本が発売されている。また、マンガを描きながら話をするという独自のスタイルで、育児をテーマにした講演会を全国で開催。2015年には、特定非営利活動法人日本マザーズ協会が主催する「第8回ベストマザー賞2015・文芸部門」を受賞。
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