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子どものこれから
将棋×子育てのイイ関係 女流棋士
中倉彰子
第5回 始まりはいつも「礼」(上)
将棋に込めた父の思惑
 ある日、父に「どうして私たちに将棋を教えたの?」と尋ねたことがありました。すると、「将棋は正座して礼儀正しく振る舞う必要があるから、少しは女の子らしくなってくれるかなと期待したんだよ」と父。もちろん、自身が将棋好きだったこともあるのですが、何より落ち着きのなかった娘たちが、少しでもおしとやかになれば、という父の思惑があったようです。「果たしてその効果は?」というと、ひとまず「あった……」ということにしておいてほしいのですが(笑)、私が将棋を子どもたちに教えるうえで、一番大切にしているのが、この礼儀作法です。
 
大切な3つの言葉
 将棋には、「三つの礼」があります。対局が始まるとき、お互いに静かに頭を下げ「お願いします」、負けを悟ったときには自ら負けを認めて「負けました」。そして最後に、もう一度互いに礼をして「ありがとうございました」。1局の中で、これら3つの言葉を必ず口にしなければなりません。

 わが家でも、将棋に興味を持ち始めた当時4歳だった息子に、細かいルールよりも、まず「三つの礼」を教えました。実は、私の夫もプロ棋士で、特に「負けました」は、「嫌がらずにしっかり言えるようにしよう」と夫婦で話し合っていたのです。
 すると息子は、駒を並べた後すぐに、「負けました」とチョコンと頭を下げて得意気な顔に。それを見ていた娘から、「それ将棋じゃないよ」とツッコミを入れられ、「ちょっと気合を入れ過ぎちゃったかな?」と反省したこともありました……。

礼儀は将棋の一部 
 ところで、今子どもたちは、礼儀作法について家庭や学校でも折に触れて教えられていることでしょう。ただ、わが家でもそうですが、子どもが成長するにつれ、なかなか親の言うことを聞かなくなりますよね。「お母さんはいつもガミガミうるさい!」と煩がられても、母の立場からすると、何度指摘してもやってくれないのだから言い続けるしか仕方ありません。しかし、この礼儀作法を自然に身につけられるとすればどうでしょうか? 
 私が指導している将棋教室では、子どもたちに押し付けるのではなく、あくまでも将棋の一環として習います。つまり、嫌々やらされる“しつけ”ではなく、将棋の一部として受け止めてもらえるというわけです。(第5回・下に続く)

【「株式会社いつつ」のホームページ】 http://www.i-tsu-tsu.co.jp/



    ☆育児漫画家・高野優さんのイラスト&つぶやきコーナー☆ その9









【高野優 公式サイト】http://www.k4.dion.ne.jp/~alamode/
【高野優 公式ブログ タカノアラモード】http://www.take.cside5.jp/alamode/blog/

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【なかくらあきこ・たかのゆう】
★文/なかくら・あきこ★東京都出身。女流二段。株式会社いつつ代表取締役。6歳から将棋を始める。1991、92年の女流アマ名人で連続優勝を果たし、94年に高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。その後、NHK杯将棋トーナメントなどテレビ番組の司会を務めるなどメディアで幅広く活躍。2007年に公益社団法人日本女子プロ将棋協会へ移籍。15年3月に現役を引退し、同年10月に株式会社いつつを設立。将棋と知育・育児を結びつけるような活動を広く展開し、お母さん向けの講演なども行う。将棋入門教材「はじめての将棋手引帖」の制作や、絵本『しょうぎのくにのだいぼうけん』(講談社)も出版。

★絵/たかの・ゆう★北海道出身。育児漫画家・絵本作家。NHK教育テレビにて『土よう親じかん』(2008年4月~2009年3月)、『となりの子育て』(2009年4月~2011年3月)の司会を務め、子育て世代から支持が厚い。『よっつめの約束』(主婦の友社)など著書は約40冊に上り、台湾や韓国などでも翻訳本が発売されている。また、マンガを描きながら話をするという独自のスタイルで、育児をテーマにした講演会を全国で開催。2015年には、特定非営利活動法人日本マザーズ協会が主催する「第8回ベストマザー賞2015・文芸部門」を受賞。
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