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美しいくらし
珈琲道具を屋台に積んで 「珈琲屋台 出茶屋」店主
鶴巻麻由子
第5回 コーヒーサーバー

イラスト:平林秀夫
珈琲豆を挽いて、ドリップして、カップに注ぐ。
珈琲道具を屋台に積んで、最後はコーヒーサーバーとカップの話。

コーヒーサーバーは、「グラスポット」とか「コーヒーデカンタ」とも呼ばれる、ドリップしたコーヒーを入れるもの。日本では「サーバー」と呼ばれることが多い。よりカップに注ぐ、サーブする、という気持ちが見えるようだ。
目盛りのついた、耐熱ガラスのサーバーを使うのが一般的だ。ドリッパーに合わせてコーヒーサーバーも各メーカーで出ているので、セットで使っても、ドリッパーが乗れば違うのを使ってもよい。目盛りの細かいビーカーに淹れる人も多い。

持ち手がプラスチックの定番のものから、最近は取っ手からすべてガラスでできているもの、ピッチャーやジャグの形のもの、持ち手が木のものなど、形もさまざまだし、直火やレンジが使えるもの、耐熱のプラスチックなど素材もいろいろある。

大切なことは、ドリッパーが収まること。量がわかること。
常に同じ量を1杯だけ淹れるなら、マグカップに直接でもよいけれど、2杯以上淹れるときは、最初に落ちるのと最後のほうでは濃さがかなり変わるので、サーバーを使ったほうがよい。
もうひとつ、コーヒーサーバーを使う理由は、コーヒーの色が見えることだ。おいしい豆をドリップしたものは、コーヒーが澄んできれい。また、深煎りや浅煎り、濃いめや薄めのコーヒーかどうかも、色の違いで確認できる。

出茶屋では、カリタやハリオのものを使うことが多い。割ってしまうことがあるので、身近で手に入りやすいものを使っている。
ドリッパーと合わせて、コーノ式のサーバーもいくつか持っていたのだけれど、今は家に一つだけ。形がとてもかわいくて、取っての部分がドリッパーの限定色に合わせて白や緑など、色の種類がたくさんあったり、手作りのウッドのものもあったり心ときめく。そして薄くて値段が張るのだ。コーノ式のいいところは、持ち手を外せて、ガラス部分だけ買うことができる。ひとつひとつ木目が違うお気に入りのウッドのものなど、もし割ってしまったらガラスの部分だけ交換できるのは助かる。
道具を使っていてうれしくなることも、コーヒーを淹れる時間の楽しみに大事なことだと思う。

豆とコーヒーの分量はよく聞かれることのひとつだ。
まず、1人前20gで180mlを入れてみてほしい。そのとき最後まで落とすのではなく、分量になったらドリッパーを外すタイミングで量を見る。
飲んでみて、あとは好みでもっと濃いめにしたかったら、ゆっくりドリップしてコーヒーの量を100から150mlと少なくする。

もっと軽めにしたければ、豆を少し減らして16gくらいにして、あっさりと淹れる。
1人前10gとよく聞くけれど、1人前を淹れるときは、少ないと蒸らしがうまくいかないので、豆を多めに使って20gを目安に量を調節してほしい。
豆の量が多ければ下に落ちるまでに時間がかかるので、2人前25gから30g、3人前30g~35gというように割合を減らしていくといいと思う。

写真提供:鶴巻麻由子
珈琲を淹れたら、サーバーでカップに注いでいく。お茶を淹れるときのように、濃さが均等になるように注ぐ。
試してみてもらいたいのはカップによる味の違いだ。
まずカップが唇にあたるときの感触で印象がだいぶ変わる。丸みのあるもの、薄いもの、陶器、ガラス、紙、それぞれの感触。そして口の広がり方によって鼻に届く香りが違う。冷め方もそれぞれ違うので、時間の経過ごとの味わいもまた変わる。
温かい珈琲が冷めていく過程の味や、カップの残り香をまた楽しめる。

好きなカップで飲む、という喜びも大事だ。
私も自宅で15年以上使っているカップがあって、コーヒーもお茶も、そのカップで飲むと落ち着く。
出茶屋の常連さんのおじいちゃん、枡本さんはいつぞや割ってしまったカップの代わりに、とアラビア調のすてきなマグカップを持ってきてくれた。「枡本」とシールが貼ってあるので、それは枡本さん専用のカップだ。                    

紙コップで飲むときも、歩きながらや運転のときは難しいけれど、どこかで立ち止まって飲むことができたら、ふたを外して飲んでみてほしい。香りと一緒に飲むことで味わい深くなると思う。

写真提供:鶴巻麻由子
出茶屋のカップは、始めた当初は屋台の和風のイメージもあり、岡持ちに入れたそばちょこで、珈琲を出していた。
外の屋台のスタイルだと、持ち手があったほうが持ちやすいとか、だんだん量が増えたとか、冬場に使うフェルトのカバーが使いやすいことなどで、マグカップを使うことが増えた。
お客さまから、コレクションがたくさんあるから、とファイヤーキングのカップをいただいたり、誕生日にたくさんのマグカップをいただいたこともある。
小鹿田焼きの器や、アンティークのものなど、はけいち(はけのおいしい朝市)などのイベントで出会うもの。そして益子や読谷など、旅先で見つけるのも楽しみにしている。

しかし、お客さんからカップをいただくのも私がよくカップを割ってしまうからで……。形あるものはいつか壊れるとはいうけれど、毎回、落とす話が最後に来るようで本当に申し訳ない。
カップ塚を作ったら、という話が出るほど。塚を見て反省しないと……。


珈琲道具、あと出茶屋で使っていて便利なものは、中国茶で使われる茶盤。お湯を捨てるものだ。分量まで入ったらドリーパーを外して茶盤に置く。珈琲教室のときに、みんなの淹れたドリッパーが並ぶ姿もよい。
火鉢屋さんからいただいたパンダの茶盤。大きくて、たくさんお湯が入るのでとても便利だ。
これがあると、近くでお湯が沸かせればキッチンじゃなくてもどこでもコーヒーが淹れられる。


5つの珈琲道具、そして火鉢や鉄瓶、ちゃぶ台や椅子、クッションを屋台に積んで。珈琲を飲む人へ、今日も一歩を踏み出していく。



【「珈琲屋台 出茶屋」のホームページアドレス】
http://www.de-cha-ya.com/

【平林さんのお絵かき教室のホームページアドレス】
http://kyklopsketch.jimdo.com/

※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『今日も珈琲日和』を好評発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。WEB連載「今日も珈琲日和」はこちらをご覧ください。

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【つるまき・まゆこ】
1979年千葉県生まれ。2004年に東京都小金井市に移り住む。同年、小金井市商工会が主催する「こがねい夢プラン支援事業」に応募し、珈琲屋台のプランが採用される。現在は主に市内3カ所に日替わりで出店。詳細は「珈琲屋台 出茶屋」のホームページを参照。
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