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読者モニターと行く初めての歌舞伎見物 エンタメ水先案内人
仲野マリ
第2回 観る前にやっておきたいこと

歌舞伎座の正面玄関の左右にある絵看板。1日の演目が紹介されている
――念願がかなって歌舞伎座にやってきた読者モニターの加藤珠由さん。もうすぐはじまる舞台にドキドキ、期待が膨らみます。とそこへ、仲野さんから「ここで“筋書(すじがき)”を買っておきましょう」と声をかけられました。

加藤さん 筋書って何ですか??
仲野さん 各演目の解説や見どころ、あらすじのほか、役者さんのインタビュー記事や館内案内など掲載した、映画のパンフレットのようなものです。筋書を購入したいちばんの目的は、舞台を観る前に演目のあらすじを一読しておいてほしいから。とはいっても、そんなにじっくり読み込まなくても大丈夫。大まかなストーリー、登場人物、時代背景を頭に入れておくだけでOKですよ。

筋書を手にする加藤さん。「なるほど。これがあると便利ですね」


――なるほど。「ストーリーが難しい」という声が多く聞かれる歌舞伎ですが、あらすじをあらかじめ読んでおくことで理解が深まるという仲野さんのアドバイスです。簡単なあらすじはチラシの裏にも掲載されていますが、歌舞伎をより楽しむためにも、情報を一冊にまとめた“筋書”を活用したいところですね。
 ほかに、舞台の進行に合わせて、あらすじや見どころを音声で解説してくれるイヤホンガイドや、小型画面に表示される字幕ガイドなどのサービスがあり、初心者に限らず利用する人もいるようです。

1階の客席を拝見!


――さて、筋書を購入した2人は、チケットに表示された3階A席へと向かいました。さすが、毎月歌舞伎座を訪れるという仲野さんは手馴れたもの。エスカレーターを乗り継いいで迷うことなく進みます。遅れずに後を着いていく加藤さんですが、実は、「3階」と聞いて一抹の不安を感じている様子。「3階席って見えにくいのでは……?(心の声)」。(第3回につづく)


             【仲野マリさんの歌舞伎ミニ講座!】
              「どうやって演目を選べばいいの?」
 歌舞伎にもサスペンスや恋愛物、ホームコメディー、時代劇などがあり、ジャンルは多彩です。映画やテレビドラマと同じような感覚で好きなジャンルを選ぶといいでしょう。

もちろん、ベテランから若手まで気になる役者狙いで観るのもあり。「作者」「ストーリー」「役者」「話題性」「演目」といった中から、あなたが少しでも知っている要素を入り口にすると、興味の幅が広がると思います。
 ちなみに、有名な『曽根崎心中』を書いた近松門左衛門は日本のシェークスピアといわれている作家で、女性の心理描写を見事に描いています。現代人に通じる恋物語は女性に根強い人気で、歌舞伎初心者にもおすすめです。どんな内容か詳しく知りたい人は、私の著書『恋と歌舞伎と女の事情』を読んでくださいね。


【仲野マリの歌舞伎ビギナーズガイド】http://kabukilecture.blog.jp/
【エンタメ水先案内人】http://www.nakanomari.net


(構成:狭間由恵、撮影:川島省子)


※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『恋と歌舞伎と女の事情』が(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)が好評発売中です。
 新刊の魅力を伝える”新刊ナビ”では、本の見どころ(第1回)装丁(表紙デザイン)の秘密(第2回)をわかりやすく紹介! 新刊発売を記念して開かれた著者・仲野マリさんとイラストレーター・いずみ朔庵さんのトークショーの模様はコチラをご覧ください。
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【なかの・まり】
1958年東京都生まれ、早稲田大学第一文学部卒。演劇、映画ライター。歌舞伎・文楽をはじめ、ストレートプレイ、ミュージカル、バレエなど年100本以上の舞台を観劇、歌舞伎俳優や宝塚トップ、舞踊家、演出家、落語家、ピアニストほかアーティストのインタビューや劇評を書く。作品のテーマに踏み込みつつ観客の視点も重視したわかりやすい劇評に定評がある。2013年12月よりGINZA楽・学倶楽部で歌舞伎講座「女性の視点で読み直す歌舞伎」を開始。ほかに松竹シネマ歌舞伎の上映前解説など、歌舞伎を身近なエンタメとして楽しむためのビギナーズ向け講座多数。
 2001年第11回日本ダンス評論賞(財団法人日本舞台芸術振興会/新書館ダンスマガジン)「同性愛の至福と絶望-AMP版『白鳥の湖』をプルースト世界から読み解く」で佳作入賞。日本劇作家協会会員。『歌舞伎彩歌』(衛星劇場での歌舞伎放送に合わせた作品紹介コラムhttp://www.eigeki.com/special/column/kabukisaika_n01)、雑誌『月刊スカパー!』でコラム「舞台のミカタ」をそれぞれ連載中。
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