新刊『恋と歌舞伎と女の事情』の著者・仲野マリさんと、カバー装画&本文挿画を手がけたイラストレーター・いずみ朔庵さんのトークショー&サイン会が、9月16日に深川江戸資料館で開かれました。これは、朔庵さんの個展「江戸小説の挿絵と時代考証」(9/12~17)の関連イベントとして実施されたものです。会場には、当初の予想をはるかにこえる70人以上が詰めかけました。
江戸ツ子=現代ッ子?
仲野マリさん
「歌舞伎は堅苦しい、難しい、という声をよく聞きますが、全くそんなことはありません。実は歌舞伎って、現代の私たちが気軽に見ているトレンディードラマやワイドショーの再現ドラマのようなものなんですよ」という仲野さんの言葉で始まったトークショー。歌舞伎に登場する女性にスポットを当てる独自の視点が人気の仲野さんと、江戸文化に造詣が深い“江戸が大好きすぎるイラストレーター”朔庵さんが、歌舞伎や川柳や落語などを例に挙げながら、「今を楽しむ江戸ッ子気質とは何か?」を約1時間にわたって語り合いました。

いずみ朔庵さん
「江戸時代のTwitterといえば、川柳!」「おしゃれなふんどしをチラ見せしていた江戸の男の人、これって現代の“見せパン”文化にも通じるのでは?」といった意見も飛び出すなど、終始和やかな雰囲気で話し合いが展開。「いつの世も、若い人がやることは、大人には理解できない」としたうえで、「江戸ツ子は、もしかして現代ッ子なのでは?」と、江戸好きな二人ならではの柔軟な視点でまとめました。
新刊を彩ったイラスト原画も披露
トークショー後には新刊の先行販売も実施。サイン会には長蛇の列ができました
「会場に足を運んでくれた人のために、サプライズをしたかった」と話す朔庵さん。トークショーが開かれた朔庵さんの個展会場には、2015年から地方新聞24紙で掲載された時代小説『料理通異聞』(松井今朝子著/幻冬舎)の挿絵が一堂に飾られたほか、江戸の暮らしを紹介するパネルや実物資料、さらには、「かもめの本棚」の新刊『恋と歌舞伎と女の事情』を彩ったイラスト原画も展示。
その言葉どおりの“江戸を丸ごと楽しめる”空間に、訪れた人も充実の表情。トークショーの前後には、熱心に作品展示に見入る人の姿が数多く見られました。
◎朔庵さんとのトークショーを終えて(仲野さんのコメント)
今回のトークショーで朔庵さんと語り合ったことで、江戸と現代は似ているんだなあと振り返ることができました。また、トークショー後のサイン会では「歌舞伎を身近に感じられる、このような本を待っていました」「これを機に、一度は歌舞伎を観に行ってみたい」などの言葉を皆さんからいただき、とてもうれしく思っています。
新刊『恋と歌舞伎と女の事情』は、朔庵さんと二人三脚で作り上げたWEBマガジンでの約1年間の連載原稿と挿絵イラストがもとになっています。今回、朔庵さんの個展を拝見して、こんなに素晴らしいイラストレーターさんに私の著書を彩ってもらったということに、あらためて気づかされました。出会えたことに感謝しています。
2017年9月26日(火)書店発売!
新刊『恋と歌舞伎と女の事情』 仲野マリ 著 
歌舞伎ビギナーズ向け講座の講師として人気の著者が、15の恋物語のあらすじや見どころを丁寧にわかりやすく解説します。WEBマガジン「かもめの本棚」の好評連載を書籍化した「歌舞伎作品入門書」。初心者にもおすすめです!◎江戸大好きイラストレーター・いずみ朔庵さんが描くヒロインも必見! 新刊のために書き下ろした表紙カバー装画とWEBマガジン連載時に描いたヒロインたちのイラストが、書籍全体を艶やかに彩ります。
【発行】東海教育研究所 【発売】東海大学出版部 【体裁】四六判・並製・288頁
【定価】本体1,850円+税 ISBN978-4-486-03908-2