皆さんもご存じのように、フランス人にとってフロマージュ(チーズ)は特別な存在です。むしろ、「食べ物」というより切っても切れない大切な文化の一つではないでしょうか。
フランスには、「1年間365日、毎日違ったフロマージュが食べられる」と言われるほど、さまざまなフロマージュが存在します(実際にはその3倍以上のフロマージュがあります!)
私の住むオーヴェルニュ地方には、サレール、カンタル、サン・ネクテール、ブルー・ドーヴェルニュ、フルム・ダンベールと、合計5種類のAOPフロマージュ*があり、そのほかにも、ヤギの乳からつくられたフロマージュ・ドゥ・シェーブルや、羊の乳からつくられたフロマージュ・ドゥ・ブルビなど、バリエーションも豊かです。

サレール村特産のチーズ「サレール」
日本にいるころから、さまざまなフロマージュを楽しんでいた私にとって、スーパーに行けば、値段も安くて簡単に多くの種類のフロマージュが手に入る今の環境は夢のよう! しかもマルシェ(市場)に出向けば、フロマージュ農家が直接売りに来ているので、話に花が咲くこともしばしばです。そのまま話が盛り上がり、後日、その農家を訪ねたり、「オーヴェルニュAOPフロマージュ街道(La route des fromages AOP d'Auvergne )」と銘打たれたマップを見ながら目ぼしい農家を訪れたりと、フロマージュライフを満喫中です。

迫力あるサレール牛
『フランスの花の村を訪ねる』で紹介しているサレールという村には、村と同じ名前を持つフロマージュがあります。原料は、サレール牛という大きくて迫力満点の牛のミルク。このフロマージュをサレールと呼ぶためには、いくつかの厳しい基準があります。
まず、1つのフロマージュにつきサレール牛のミルクを400リットル使い、40~45kgの重さがあること。ほかにも、直径は38~48cm、高さ約40cmなど、細かい指定があります。その基準から外れてしまうと、サレールの証である赤いプレート(生産農家の名前と生産日が識別できるもの)が付けられません。(つづく)
*AOPフロマージュについて
AOP(Appéllation d’Origine Protégée)は、 原産地保護呼称であるフランスの「AOC」に倣って、1992年に生まれたヨーロッパの原産地保護呼称。AOCはAOPの一部を構成しています。気候条件、日照、土壌、植生、飼料、先祖伝来の飼育や生産法などの地域特性が産品に反映されるという考え方から、産品が該当する地域で正当に生産されたものであることを証明するもの。フランスのAOCはおおむねAOPと見なされ、フランスのフロマージュも現在はAOP制度に組み込まれています。
(写真提供:木蓮)
★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/
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WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
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