最終回 やる気アップだけじゃない! 勉強部屋改善の効果
これまで4回にわたり、勉強部屋の改善が子どものやる気アップにつながる理由や、具体的な部屋の改善方法をお聞きしました。最終回は、勉強部屋の改善がもたらすさまざまな効果についてのお話です。勉強部屋の改善で自然な親離れ、子離れを
講演会やワークショップでも大活躍の喜々さん
最近、リビングでの勉強が注目されています。確かに小学校の低学年くらいまでは、親の目が届くところで勉強するのはよい方法だと思います。正しい書き順で漢字を書いているか、などを確認することもできますね。
この時期には、「毎日、家で宿題をする」という習慣を身につけることが大切。共働きのお母さんだと難しいかもしれませんが、食事の準備をしながら学校や宿題のことを話題にするだけでも、自宅での学習を促すために有効です。
でも、「中学生になってもリビングで勉強する」というのはどうでしょう。たいていの子どもはテレビやゲームに囲まれて勉強に集中できないのではないかと思います。中学生になるとそろそろ親離れが始まり、自分の城を持ちたくなってきます。この時期になったら自分の部屋で勉強するよう促していく必要がある、と私は考えています。
最初は部屋に入っても何もしないかもしれませんが、短い時間でもいいからとにかく「勉強部屋に入る」という習慣を付けさせることから始めてみてはいかがでしょう。ときどき何の勉強をしたか見せてもらうなどしながら、少しずつ自立を促していくことが大事だと思います。
それはまた、親が子離れするということでもあります。子どもが部屋に入って勉強していれば、お母さんはその間は子どもにかかわる必要がなくなります。子どもが自分の部屋で勉強するようになれば、自然に「子離れ」「親離れ」ができるのです。
家族全員で子どもの教育について考えるチャンス
イラスト:高尾 斉
さまざまな理由で、子どもの教育が「母親任せ」とか「父親任せ」になっている家庭もあるかもしれません。あるいは、学校や塾に任せきりという状況もあるでしょう。勉強部屋の改善を考えることは、子どもとじっくり向き合うことでもあります。同時に、家族全員で子どもの教育や将来を考える機会にもなると思います。
どの部屋も使いやすく気持ちよく 今回は勉強部屋のお話でしたが、「使いやすく気持ちよい」部屋を作るポイントは、すべての部屋に応用できます。「ものの置き場所を決めて、使ったらそこに戻す」「作業の動線を考えて家具や文房具を配置する」など、目的に応じて、できるところから実践してみてください。
たとえば、普段寝室やクロゼットに置いているアクセサリーケースと姿見を玄関に置いてみてはいかがでしょう。たいていの人は出かける直前にアクセサリーを付けますよね。玄関でつけて全身をチェックして出かけ、帰ってきたら玄関ではずす。この方法は時間の短縮になりますし、アクサリーの紛失も防げます。
最終的な目標は「心地よい空間」 5回にわたり、「子どものやる気をアップする部屋」についてお話してきました。上質な住空間や暮らしを提案するライフオーガナイザーとして最終的に皆さんに提案したいのは、「心地のよい空間」をつくること。勉強部屋でもリビングでも「こうしなければならない」ということはありません。皆さんがそれぞれに「心地よい」と感じる空間をつくって、より豊かな暮らしを楽しんでいただければと願っています。
(構成・川島省子)
【かもめ編集部から】 「子ども部屋を整えることが、自然な親離れ、子離れを促す」という話がとても印象に残りました。勉強部屋の改善は、子どものやる気アップだけでなく、家族の成長にとっても大切なことなのですね。
さて、喜々さんに教えていただいた「やる気が出る片付けのコツ」を応用し、デスク上の文房具置き場所を決めてみました。手帳とスマートフォンは左に、ペン類は右に、コーヒーカップは……。意識して続けていると、だんだんと定位置に置くクセがついてきたように思います。“探さなくてもすぐ手に取れる”って快感です!
◇喜々立子さんのホームページはこちらから
Treasure in the Heart(トレジャー・イン・ザ・ハート)
http://treasure-in-the-heart.com/