前回(第2回)では、必要なものをすぐに取り出せるように収納し、能率の上がる勉強部屋にするためのコツをお話しました。今回は、好きなものをいつも目に入るところに置いておきたいという子どものための、「集中できる部屋づくり」についてのお話です。事例2:ミニカーを机に並べたいB君(中学校1年生) 勉強机にミニカーやメガネ、お菓子など、好きなものをたくさん並べているB君。机の下の移動式キャビネットは、お気に入りのぬいぐるみでいっぱいです。「大好きなミニカーはどうしても飾っておきたい」というのが本人の希望です。
我慢しすぎず「好み」は取り入れる 本人が気持ちよいと感じる空間をつくるためには、好みは生かしたほうがよいでしょう。でも、ミニカーが机の上に並んでいたら、どうしても眺めたり手に取ったりしてしまいます。そこで、「飾っておくのは机の上でなくてもいいよね」と話して、ミニカーはすべて、机の背面の本棚に移動。逆に、本棚にあった辞書類を机の上に置きました。
気が散るものは視野の外へ 勉強に関係ないものが視野に入らないよう、机やベッドの位置も変えました。母親が「家具の配置を変えたら」と言い続けていたそうですが、本人はかたくなに拒否していたそうです。第三者が論理的に説明することで納得したのですね。
イラスト:高尾 斉
勉強机の近くには勉強に必要なものだけを置くのが基本です。机の下のキャビネットに入っていたぬいぐるみなどは別の場所に収納し、代わりに学校の教材を入れました。
好きなものを見えるところにおくことでモチベーションが上がるようにも思えますが、子どもにとっては気が散る要因。学習に集中するためには、勉強に必要のないものは、なるべく近くに置かないことが大事です。

部屋を改善した日、B君は「これからは毎日1時間、部屋で勉強する」と言ったそうです。その結果、次のテストでは主要3科目の合計点が55点アップ! この間、母親はB君の部屋をのぞくことはしませんでしたが、とにかく彼は毎日1時間、自分の部屋にいたそうです。きっと、しっかり勉強していたのでしょうね。
部屋が気に入って、そこにいることに満足し、さらに勉強をしている自分のことが好きになる。それが家庭学習の継続につながったのだと思います。
※次回は勉強部屋を家族と共有している子どもの事例を紹介します。(構成・川島省子)
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